第72話 Island in the sky



居並ぶ、返却カウンターの人たちが

とりあえず捌けた。



めぐが、コンピュータ処理をして、クリスタさんが

その本を返却カートに移す。



最初は、大きい本、小さい本、と

分類していたクリスタさん、だった。



途中で、それを返す書架がある事に気づいた。



「めぐさん、これは....書架に戻すのですか?」



「はい」と、めぐは答え、「ああ、そうですね。本の背中に貼ってある

分類コード、数字ね。その順番に並べて置くと返すの楽ね。」



郵便配達の順路表みたいに、カートを進める順番に

本を並べると便利なの、と


めぐは言った。



「でも、さっきみたいにいっぱい並んでるときは

とりあえず、並んでるひと、大変だから。重たい本持って

立ってるの」


だから、先に処理しちゃうのね。



そう、めぐは言った。


クリスタさんは「自動で処理できたらいいですね。」と、

なんとなく。



めぐは思った。



.....。自動。



入り口のRFID検出機で、本の情報は読める。

だから、貸し出ししていない本が通ると

チャイムが鳴るもの。





.....似たような仕掛けで、できそう!。



なんとなく、ひらめいたりして(笑)。




ものを考えるのは、楽しい。


作るのも。



ソフトウェアを作るのは、女の子向き、かもしれない。



体力も図面もいらない。


発想と言語能力だけ、だもの。





「ありがと、クリスタさん!}と、めぐは

アイデアをもらえたことに感謝した。



クリスタさんは「....はい。?」と、


ちょっと意味が分からない。




「ああ、面白い事思いついちゃった!みんなが並ばなくていい仕組み。

クリスタさんが教えてくれたのよ。」



「....?」クリスタさんは、やっぱり訳分からない(笑)。


でも、なんとなく仕事が創造的で面白い、って事は

感じ取れたみたい。




事務的職業みたいな司書、でも

考え方ひとつで、楽しくもなるし

創造的にもなる。



本が好きな人が、もっと好きになってくれるように。


それは、最初から変わってない。


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