第40話



その夜、僕は夢を見た。


リアルな夢だった。

あの、桜台高校のキャンパスにある八重桜の木,...


そこに、制服姿の薗子が立っている。

僕は、キャンパスの外からそれを

ぼんやり眺めていたら...薗子は僕を見、

可笑しそうにくすっ、と笑う....



そんな夢だった。


短い、ほんの短い夢だけれども....

繰り返し、繰り返し。この夢を見ていたような

そんな気もする。



はっ!


気付くと、午前4時だった。


寝苦しかったな....と、思った。

キッチンに行き、冷蔵庫から

焙じ茶のボトルを出して、グラスに注いだ。


涼やかなクリスタル・グラスは

キッチンのLED照明の、青白い光に映えて

きらきらと輝いていた。

焙じ茶のブラウンが、透明な輝きを彩った。


それを一気に飲み干し、僕はすこしだけ微睡みから

醒めた。そして、ふと思いつき

スマート・フォンの電源を入れた。




......!!



戻っている。メールも、ピクチャーフォルダも。

まさか....。そんなバカな.....。


替わりに、榊汀子からの着信記録が消え失せていた。



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