第15話 クモとサソリは女子から不人気
[攻略報酬として経験値を獲得しました。]
[攻略報酬としてスキル習得ポイントを獲得しました。]
[攻略報酬として1280円を獲得しました。]
[攻略報酬としてアイテム《エレクトリック・アースワームの電気袋》を獲得しました。]
[レベルが14上昇しました。レベルが70になりました。各ステータスの数値が上昇しました。]
[スキル【跳躍】のレベルが1上昇しました。スキル【跳躍】がLv.2になりました。]
[《Cランクダンジョンを武器を使わずクリア》を達成しました。各ステータスの数値が上昇しました。]
[《Cランクダンジョンをマルチでクリア》を達成しました。各ステータスの数値が上昇しました。]
攻略報酬の内容を知らせる声。
俺とララやロロでは、それぞれ違う声が聞こえているようだ。
ダンジョンのランクが上がれば、それだけ貰える経験値も多くなる。
さらに【進化】がレベルアップしたこともあって、一気にレベル70まで到達してしまった。
この調子なら、短大ばりのスピードでCランクダンジョン卒業である。
そういえば【跳躍】がレベルアップしたと言っていたな。
どう変わったんだろうか。
俺はスマホを取り出し、例によってD-GUIDEで確認した。
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【跳躍】Lv.2
効果:跳躍力が向上し、高く飛ぶことが出来る。
跳躍可能高度:自身の体長×3
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飛べる高さが高くなったのか。
う~ん。
喜ぶべきなんだろうけど、そもそも×2の時点でダンジョンの天井にぶつかっていたのに×3になってもな…。
やはり【跳躍】は、ボス部屋専用のスキルになりそうだ。
報酬を確認し終えた俺たちは、取りあえずダンジョンの外に出た。
「お兄ちゃんは、レベル上がった?」
「まあな。」
【
まさか、今の1回でレベルが14も上がったなどとは言えない。
「2人は、これからどうするんだ?」
ララはロロと顔を見合わせると、にっこり笑って言った。
「お兄ちゃんの言いつけを守って、武器を買いに行こうかなと思ってるよ。」
「そうかそうか。」
この辺りの武器屋だと、隣の駅の近くに大手武器メーカーの店があったはずだ。
「あの駅前の店か?」
「そうそう。そこなら、いい武器売ってるかなと思って。」
大手メーカーというと、大量生産でコストは低く、品質はそこそこというイメージが強いが、駅前にある「武器のナカムラ」は高品質の武器を安く提供することで知られるメーカーだ。
何でも社内に高レベルの探索者を集めた部署があり、彼らが直接ダンジョンから素材を取ってくることで、コストを抑えているらしい。
「お兄ちゃんもいく?」
どうするかな。
正直、俺は武器屋に用は無い。
武器なんか使えないから。
それに、静月や早倉さんの誘いを断ってきている訳だしな。
やっぱりレベル上げが優先か。
「まあ、今日は俺はいいかな。2人で行ってきなよ。」
ララは「え~」と不満そうな顔をしたが、自分のスマホを取り出すと言った。
「じゃあさ、連絡先だけ交換しとこ?ほら、ロロもQRコード出しなよ。」
そういえば、瀬藤さんとも連絡先交換したけど一切連絡してないな。
「連絡するか分かんないけど、それでもいいか?」
「え~。連絡はしてよ~。」
ごねるララのQRコードを読み取り、ロロの分も読み取ると、俺はスマホをしまった。
と、そのスマホに電話がかかってくる。
静月かな?
「もしもし。」
「あ、もしもしお兄ちゃん?」
「お前かよ!!」
俺は即行で、電話をぶちぎった。
「あのな。目の前にいるだろうが。」
「いいじゃん。せっかく交換したんだし。」
こりゃ、俺から連絡しなくてもララからしてくるな。
別に迷惑ということはないし全然いいけど。
「それじゃ、俺は別のダンジョンに行くな。」
「分かった。お兄ちゃんまたね。」
「お世話になりました。」
ララが手を振り、ロロが頭を下げる。
「またな。」
俺も手を振り返すと、それぞれ別の方向へ歩き出した。
さてとだ。
3人で攻略した《CD-133ダンジョン》は、レベル上げの効率が特別良いという訳でもない。
【帯電】と【放電】はゲットしたし、また別のスキルを求めて違うダンジョンに行くのがいいだろう。
ただ《CD-133ダンジョン》のように混み合っていると、ダンジョンに入るまでで時間がかかって効率が悪くなってしまう。
使えるスキルを持ったモンスターがいて、そんなに混んでいないという都合の良いダンジョンは無いだろうか。
なかなか思いつかないので、ネットで調べてみることにする。
「Cランクダンジョン 不人気」で調べると、いくつかのダンジョンがヒットした。
その中で俺の目に留まったのは、隣の市にある《CD-166ダンジョン》。
ダンジョン内に出現するモンスターがサソリの形をしており、ボスはクモのモンスターという圧倒的に女子から不人気なダンジョンである。
確かにアミュンラビットとかはうさぎうさぎしてるからかわいく思えないこともないけど、クモだのサソリだのは気持ち悪がられるよな。
それが嫌なのに探索者ってどういうことだよって気もするけど。
ただ、このサソリとクモはどちらも毒関連のスキルを持っているのだ。
今の俺は、毒系のスキル未所持。
スキル習得ポイントでノーマルスキルを習得するという手もあるが、せっかくならモンスターのスキルをいただくとしよう。
隣の市までは、電車よりバスで行った方が安い。
俺は近くのバス停からバスに乗り込んだ。
途中のバス停で一旦降り、探索者用の道具屋に入る。
念のために、解毒剤を購入した。
お値段1300円。
《CD-133ダンジョン》の報酬が一気に吹っ飛んだのである。
もう一度バスに乗り、《CD-166ダンジョン》に向かう。
到着すると、ネットの情報通りダンジョンにはほとんど人がいなかった。
やはり、不人気なようだ。
待ち時間もなくダンジョン内に入り少し歩くと、奥からカサカサと物音が聞こえてきた。
おそらく、サソリ型のモンスターであるアイアンスコーピオンだろう。
鉄のように硬い殻を持ち、素早く動き回って毒を噴射する。
所持スキルは、毒噴射の【ポイズンジェット】だ。
地面を張って、アイアンスコーピオンの茶色く平べったい体が現われた。
早速、【ポイズンジェット】をコピペさせていただこう。
「【
俺の視線の先で、アイアンスコーピオンがカサカサと動き回る。
「【ポイズンジェット】!!」
[スキル【ポイズンジェット】を
「Yes!!」
[スキル【ポイズンジェット】を
[スキル【ポイズンジェット】を習得しました。]
よし、初の毒系スキル習得だ。
後は、アイアンスコーピオンの【ポイズンジェット】を食らわないようにして倒すだけ。
ダンジョンの壁を見ると、ところどころ溶けているところがある。
多分、こいつらの毒で溶けたのだろう。
人間の皮膚に食らいでもしたら、たまったものじゃない。
「【帯電】!!」
俺は覚えたばかりのスキルを使ってみた。
体に、痛みとはまた違うピリピリという感覚が流れる。
髪の毛が、ベジタブルな惑星の戦闘民族みたく逆立った。
残念なことに、相手の戦闘力は530000も無いが。
「【放電】!!」
そう叫ぶと、体に溜められた電気が一気に放出された。
ララとロロが恐れていたビリビリが、アイアンスコーピオンを襲う。
けいれんした様にぴくぴく動くアイアンスコーピオンの体には、まだ電気が残っているはずだ。
「【ラビットファイヤー】!!」
俺が火の玉を撃ち込むと、軽い爆発と共にその体が黒焦げになった。
もう、ピクリとも動かない。
無事、毒を食らう前に倒せたようだ。
レベルが一気に14上がったことで、【ラビットファイヤー】の威力もかなり向上した気がする。
幸運も上がったし、クリティカルヒットの機会も増えていくだろう。
「さ、どんどんいくぞ!!」
俺は自分の飛躍的な成長に満足しながら、ダンジョンのさらに奥へ歩みを進めた。
その麻央を、分かれ道の陰から見ている2つの人影がある。
「何だ、ありゃ。【放電】に【ラビットファイヤー】っていえば、モンスターのスキルじゃないか。どうしてそれを探索者が?」
「オリジナルスキルか何かだろうな。いろんなモンスターのスキルが使えるとなれば、あいつはめちゃくちゃ強くなれるぜ。」
「まるで魔王だな。」
「魔王か。そりゃいいネーミングセンスだ。」
この時、麻央はまだ気づかなかった。
ただのダンジョン探索者がオリジナルスキルのせいで魔王と呼ばれ始めたことに。
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氏名:
年齢:18
《STATUSES》
レベル:70
攻撃力:840
防御力:840
速 度:840
幸 運:840
体 力:840
《SKILLS》
〈オリジナルスキル〉
【
【体当たり】Lv.2
【粘膜シールド】Lv.3
【分身】Lv.2
【跳躍】Lv.2
【ジグザグジャンプ】Lv.2
【ラビットファイヤー】Lv.4
【催涙花粉】Lv.1
【ステムバレット】Lv.1
【進化】Lv.2
【
【帯電】Lv.1
【放電】Lv.1
【ポイズンジェット】Lv.1
〈ノーマルスキル〉
【鑑定眼】Lv.1
【ウィンドアロー】Lv.1
スキル習得ポイント:3400
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