ずっと好きだった女の子にあげるバームクーヘン

なんか、寒いね。

三月ってもう少し暖かいと思っていたんだけどなぁ。

うぅ、寒い寒い。

……(吐息)


あのさ、ちょっと今日、時間ある?

ちょっとだけ、寄り道しない?

どこって……公園。

そう、よく一緒にブランコ乗って塾をサボった。

そうそう、懐かしいなぁ。

あの日の夜、めっちゃ怒られたよね。

あの頃、とっても楽しかったなぁ。


あのさ、君ってバレンタインチョコ誰かにあげたりしたの?

なんでそんなこと聞くのって・・・な、なんとなく!なんとなく気になっちゃって!


そ、そうなんだ、誰にもあげてないんだ。ふぅん、そうなんだ。よかった。

い、いや、変な意味じゃなくてさ。

幼馴染の僕も貰ってないのに他の誰かがもらってるとかちょっとズルいって思っただけだよ!

いや、別に嫉妬とかそんなんじゃなくて。

なんか、ちょっとだけ嫌だなって。

これは嫉妬なのかな?


あ、そうだこれあげる。

ホワイトデーのお返しとして、バームクーヘン!

さっきコンビニ寄った時に買ってきたんだ。


いや、確かにバレンタインチョコはもらってないけどさ・・・。

良いじゃん、もらってよ。

とりあえず僕から君に渡したいなって思っただけだから。


ああ、もうスマホでバームクーヘンの意味を調べようとするな!


そ、そうだよ。

バームクーヘンって、木の年輪みたいに長い年月を表してるじゃん。

だから・・・その。

『幸せがいつまでも続きますように』って意味があるんだよ。


君と、これからもずっと幸せな毎日を過ごしたいなって。

あのさ、ずっと言えなかったけど・・・

好きです。

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