魔法薬屋と使い走り 或いは ドS魔導士と下僕

白井游月

プロローグ

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 大陸の中でも、ちょうど中くらいの大きさのレングズウィスト王国。

 特徴と言えば、海に面していることと、大きな川があること、そして27年前まで隣国と戦争をしていたことだろうか。


 そんな王国で、どちらかと言えば力を持っている、というくらいのグルナンリーク領に、その魔法薬屋はあった。


 グルナンリークと言えば、件の“大きな川”のすぐ横にあり、支流も含め豊かな水の恩恵を受けている土地だった。


 魔法薬屋は、支流の近くのそこそこ栄えている街から、少しばかり山へ入った場所にあった。

 大きな木を二つくりぬいて中を家にし、ついでに上手くつなげて上にも小屋を作って住んでいた。


 そこの店主がどこから流れてきたかは街の誰も知らなかったが、魔法薬屋としてのランクは下から数えた方が早いというのに、大層優秀だという話だった。

 それと同時に、大層気難しいという噂だった。


 店主のトレードマークはボサボサの長い赤毛と、猫のような金色の目。

 名をエルファヌ・ニカモというその人こそ、不本意ながらこの物語の主人公である。

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