長蛇の列に終わりの荷物

まず、交換チケットを持つ

同じ番号の紙袋を受け取り

さらさらに中に入っている

紙は「復習用、便覧、問題集」

→個人購入化のアンケート


チケットを手に入れる為に

父母は上から下までお金を出した

このあとの生活に不自由がないように

楽しく過ごしてくれないかなあ

なんて思っていたのでしょ


いやあ、悲しいな

登校初日にイジメは始まったよ

気弱そうな細身の男の子と

肥満気味な男の子

女子たちは各々のグループに収まり

身を震わせていた


外見イジメ

言葉イジメ

体格差イジメ

降り注ぐ犯罪


僕は驚いた

その光景を動画にしている奴がいる

無表情で映し、音声を最大にして

淡々と撮り続けた


それはいじめっこたちが教科書を破きそうになった時

踏み荒らそうとした時、突き飛ばして背を打ち付けた時


俺は教室から出て走った

目的地は職員室だ

がらり、と開け放ち

「イジメが起きてます!」

そう吠えた、そう何回も吠えるから

体格のいい体育教師が走って行く


俺も続く

どうなっているか見ないと


がらりと開けた

教師は「なんだ!」と叫ぶ

いじめは止まった

見れば「いじめ」だと分かる

そこれで撮影者がスマフォを渡した

「どうぞ、証拠はありますよ」


それにいじめっこたちは激昂した

撮影者に攻撃をしかける

彼は悪くない、ただただ事実を伝えたんだ

俺は彼の前に立った

殴られた

無視して何も出来なかった代償だと思う


これにてイジメは終わった

しこりが残ったがクラスに無視さえあれど

暴力や暴言はなくなった


長い長い短い青春

長蛇の列は春を求める為

終わりの荷物は犯罪の一歩手前


俺はいじめられっ子に声はかけなかった

でも撮影していた彼は話しかけていた

少しだけ羨ましい、羨ましいと思っていたら

彼は俺の手を引いた

鞄にはたくさんの教科書

青春の終わりを見たような気がした

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