拡縮少女の憂鬱~旅を通して「拡縮能力」の有用性を示していたら、魔王倒しちゃいました~
子獅子(オレオ)
プロローグ
第1話 ギルド面接
拡縮能力――それは、対象を拡大・縮小できる力。荷物を運ぶことで報酬を得る
12歳になると天からスキルを与えられ、その内容によって人生が左右されるというこの世界では、100年に一度魔王が復活し、勇者一行がそれを討伐して平和を取り戻すという長いサイクルを繰り返していた。
100年前に魔王を討伐した勇者のパーティには、とある
そんな中、拡縮能力を持った一人の少女がギルドの門を叩くところから物語は始まる。
――――
「それでは自己紹介からしてもらおうかな」
面接官でしょうか、艶やかな黒髪を纏めた女性が微笑みながら言いました。その後ろには、筋骨隆々なおじさんが腕を組みながら、石壁にもたれつつ値踏みするような目線を私に向けています。恐らくギルド内ではかなり偉い人なのでしょう。失礼のないように、それでいてアピールをしてギルドに入れてもらうのです。
「エレナ・エンフィールド。16歳です。拡縮能力を持ってます。これが
私の言葉に、おじさんの眉がピクリと動きます。
―――
スキルと言ってもそれぞれの力量が同じとは限らない。同じ『火を操る』スキルでも、ある者は4000℃、またある者は6000℃までとその能力には様々な差がある。その為スキルを与えられた時に、その詳細を書いたカードも授与される。
「……
「分かりました。面接官さん、そのペン借りてもいいですか?」
「え、ええ……」
面接官さんは、本当に出来るのか?と言った疑いの目を私に向けながらも席を立ち、私に羽ペンを手渡します。この100年間、拡縮能力を持った人間は片手で数えるほどしか生まれてきていません。それほどに稀少な能力です。当然嘯く者も多数いるのでしょう。
彼女から受け取った15㎝ほどの羽ペンを手に持ち、念じます。
『
すると、一瞬で羽ペンは私の身の丈ほどの大きさになりました。もはや一般的な鳥のそれではなく、怪鳥から抜き取った物と言われても信じられるほどの大きさです。その光景を見て面接官さんは驚いていました。ですが、彼女の背後にいるおじさんはそれほど驚いていないどころか、能力についていろいろな質問をぶつけてきます。
「お見事。能力に関して数個の質問をする。倍率と同時に発動できる数の制限は?」
「倍率は100倍まで1刻みで調整できます。同時に発動できる数の制限はないです。なんでも、いくつでも拡縮できますよ?」
「100倍で無制限か。かなり恵まれたな」
「ありがとうございます。12歳でスキルを授けられてから毎日使って鍛錬してました。ここまで使いこなせるようになったのはそのおかげです」
「類稀な才能に加えて努力家か、結構結構。では次の質問だ。対象の重量は倍率に比例して増減するのか?」
順調にアピールできていると思いきや、雲行きが怪しくなってきました。この人はかなり拡縮能力について詳しい様です。通常、拡縮能力では倍率に伴って重量も増減します。なので、重たい剣や鎧も小さくすればその分軽くなり、たくさん持てるのです。ですが、私の場合は……
「重量は……そのままです」
「そうか。最後に一つ聞く。効果時間はどれくらいだ?」
その言葉で、私自身の
――――
【人物名】エレナ・エンフィールド
【総合ランク】S
【能力概要】拡縮能力
【能力説明】下記の内容に沿って対象を拡大、縮小させる。
【倍率】1-100倍まで1刻みで調整可能(S)
【対象】万象(S)
【同時発動数】無制限(S)
【重量変化】無し(B)
【効果時間】5秒(D)
「…………5秒です」
「
やはりダメでした。最後に何故彼がこんなにも能力に詳しいのかを質問します。
「私からも一ついいですか?どうしてあなたはそんなにもこの能力に詳しいんですか?」
「それはな、俺も同じ能力を持っているからだ。倍率は100倍、対象にとれる数の制限はなし、重量は倍率に比例、効果時間は無制限だ。ほれ、
壁にもたれていた彼が、先程面接官さんがしたように
――――
【人物名】ヴォックス・バンドロール
【総合ランク】SS
【能力概要】拡縮能力
【能力説明】下記の内容に沿って対象を拡大、縮小させる。
【倍率】1-100倍まで1刻みで調整可能(S)
【対象】全ての物質(S)
【同時発動数】無制限(S)
【重量変化】拡縮倍率に比例する(S)
【効果時間】永続(S)
私の上位互換が目の前に居ました。その彼から発せられた言葉は、驚くべき内容でした。
「俺の親父が伝説の
聞きたくない
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