僕は義姉(あね)が嫌い!

風凛咏

第1話 僕と義姉

 僕には姉がいる。一つ年上の優しい姉だ。


 僕が姉と出会ったのは幼稚園の頃だ。


 マンションに引っ越してきたばかりの僕にとって彼女は初めは近所の可愛い女の子という印象だった。


 僕の父は離婚しており、彼女にも母しかいないこともあり、片親同士という親近感はあったものの、ただそれたけだった。


 小学校に入学すると、学年が違うもためか面倒見のいいお姉さんという印象に変化していった。しかし、身近な女の子ということもあり、次第に恋愛感情が芽生えていった。初めてで自覚しづらいその感情に戸惑いながらも自分の中で理解することができた。


 とはいえやはり小学生だ、好きな子にイタズラをしたり邪険に扱ったりと素直に気持ちを伝えられずにいた。仲良くしていたものの、やはり内心複雑だった。


 そんな時だ、気付けば彼女が姉になっていた。


 語らずともわかる話だが、両親が再婚したからだ。


 当時の僕にはそのことが理解できなかった。


 初恋の女の子が姉となっていた。


 姉弟間で恋愛など、一般的にはありえないことは理解していたため、自分の感情が世間的には認められないことだ、そう思っていた。


 そんな中、中学生となり、反抗期になった。


 姉は今までと変わらずに接してきたが、納得できない現状と反抗期とが相まって冷たい態度をとってしまう。


 だが姉も姉だ。子供だったから気付かなかっただけかもしれないけれど、なんのそぶりも見せなかった両親の再婚に納得していることに納得いかなかった。


 二人の再婚に反対しているわけではないが、姉が好きだった僕は釈然としなかった。




 環境が変わっても何にもなかったように振る舞う。


 そんな薄情な姉が嫌いだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る