人気声優と結婚できる5つの条件
のだめ
第1話 ――推しに会う時緊張するのは当たり前――
もし、憧れの人と結婚できたら──
もし、大好きなあの人と結婚できたら──
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ガタンゴトン。4月。就職や、入学シーズン。そんな中、俺は満員電車に揺られながらそんなくだらない事を考えていた。
俺、
そして、俺はこれからとある場所へ行く。
そう、俺の好きな『彼女』に会いに。
****
「入場開始しまーす。ゆっくり前に進んでくださーい」
元気のいい声でスタッフのお姉さんがそう呼びかけた。それに従って俺たちは前に進んだ。
たった一瞬だけれど、この時を1ヶ月前から心待ちにしていた。
すると、突然勢いのある、可愛らしい天使のような声がホール中に響いた。
「みなさーん!こんにちは!今日は私のために来てくれてありがとう。みんなに会える事をずっと楽しみにしてたよ。今日はたくさんお話しようね!」
そう、今日は俺の大好きな声優、「
遂に俺の番がやってきた。もう緊張で汗が止まらない……。
俺は全力で昨日の夜考えた話す内容を言う準備をした。
「あ、お兄さん。また来てくれたんですね!」
ああ、生ひよりん……何度見てもいい。
それに、1ファンの俺の事を覚えててくれてるとか、もう神だな。俺は急ぎめに返答する。
「あ、はい。また来ちゃいました。はは……」
あぁ……ひよりん可愛すぎる。もうすっごい目を合わせて来てくれてるけど、ぜんっぜん見れない。すげー可愛い……
「あ、あの〜」
「えぇっ?!はい!」
「あ、やっとこっち見てくれた。もう、お兄さん前も来てくれたけど全然私と目合わせてくれないし、何にも話してくれないし。私の事嫌いなのかと思いましたよ」
「そ、そんな事ある訳ないじゃないですか!!」
俺は咄嗟に会場中に響く程の声で言った。
「俺は、夢野さんの事がす、好きで……え、えとすごい好きです……よ」
凄いたじたじで俺はそう言った。ただの気持ち悪い人だ。
「ふふっ、ふふふ。お兄さん大きい声出るじゃないですか。今度はもっと沢山お話しましょうね」
「あ、あのまだ話が」
「はーい、お時間でーす。ありがとうございました〜」
スタッフさんに遮られてしまった。
家に帰ってから俺は自分のPCを急いで開いた。そして、俺の管理するサイト「HIYORIBI」の更新をした。
『ひよりん新曲CDお渡し会&サイン会、感想』
『ひよりん今日もすっげー可愛かった!もう天使だった!オレ全然上手く話せなかったけど、ひよりんから話しかけてくれた泣まさに神対応だった……もうずっと、オレは夢野日葉梨を愛し続けるぜ!』
「ふぅ……」
俺はいつもの『仕事』をしてPCをそっと閉じた。
****
握手会から2週間経ったある日──
俺はTwitterを開いてその場で凍りついた。
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