日常のアトラクション

何気ない日々を楽しむ


平日と休日では起きる時間も一日の予定も行動範囲も食生活も大きく変わってくることが当たり前の様に存在する。

日常過ぎて何となく日々生きている人がいたり。そんなありきたりな日々が嫌な人もいたり。


そんな世の中で一人の青年は独自のルーティンを持って日々を生きていた。


彼の名前は佐藤真司。幼い頃から至って一般的な家庭に育ち。至って一般的な学歴にて。

高卒ながら地元の営業会社に入社し。今年で26歳になる若者だ。


彼の会社は大都市とは言わずとも田舎とも言えない地域に存在する中小企業で主に地元の農業や漁業の組合と食品加工会社及びスーパー等の小売業を繋ぐ営業会社として業務を行なっている。仲介は元よりその時々に合わせて地元食材を用いた新商品の提案を日々行っている。非常に柔軟さが求められながらも。人間味溢れる仕事の為やりがいに満ちていた。


高卒当時の佐藤は入社当初こそ先輩に同伴の元右も左も分からぬまま。日々仕事に追われるだけの日々を過ごしているだけだった。


生産者側の立場と商品製造(日々ロングセラー商品)を模索し全国展開したい製造メーカーと

入荷し販売した際にリスクなく完売したい

スーパー等の小売業の店舗との意見を

現場で直接見聞きした上でそれぞれが納得

するにはどうすれば良いのだろうか。

どこか一つでも破綻すると成立しない

ことから。日々慎重に思考を巡らせて会話をしていくことが主な業務となった。


彼の性格は強気でも弱気でもない為。

日々場数を積み上げていき。

時を経て実績を重ねて昨年彼は係長としての役職に昇進した。


係長と言っても一社員に過ぎない為。

主に人材教育業務を行いながら。

相変わらずの日々を過ごしている。


出世してからも彼自身別段日々の生活は身の丈以下の出費で生活だった。


そんな彼には日々独特の楽しみがあるのだった。楽しみと言っても特別な準備が必要なことではない。


彼は毎朝5時過ぎに起床する。

そして会社にいく準備をする訳ではなくパジャマから私服に着替えてリュックを背負い一人暮らしのアパートから出かける。


近所にある格安自販機でその日の気分に合わせてドリンクを購入し飲みながら何気なくいつもの散歩コースを歩んでいく。


歩くことは気が休まる。


何気ないいつもの道でもその日その日で

空気感や天候が違ったり

鳥のさえずりや犬の散歩の様子。

近所の美容室で店前で飼われている猫がじゃれてくる様子などが新鮮なのだった。


散歩の中盤くらいに彼は日々近所の農家の方から間借りている僅か数メートルの土地に植えている農作物の手入れを行う。

これが彼の日課であり日々の楽しみだった。

自分で作る農作物は思い入れがある為。

収穫後に料理した際の満足度は底知れない。


休日の場合彼は釣り竿を持って沖釣りを行うこともある。釣れた魚は馴染みの地元の飲食店で捌いてもらう。



雨の日は憂鬱かと思われるが。

そういう場合は傘をさして雨音を楽しみつつお洒落なカフェでモーニングを楽しむ。

その際のお供は今流行りの携帯用ゲーム機だ。Wi-Fiに接続し。日本中の人々と繋がるのが至福の時間だった。


お金は別段そんなにかけなくても何となく。

ありきたりな日々の中でも気を張らずに

自然体で楽しめればそれら全てが仕事と私生活の両方を充実させる。


彼がヒットさせた提案商品は何気ない気遣いや人間関係や地元だけでなく幅広い地域を捉えているからこそなのだろう。

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