第9話 アリエルと
アリエルは、もう春が近い
山の景色を眺めながら思います。
「春が来たら、楽しい事がいっぱいあるかな」
野原へ、やぎさんたちと
一緒に行って。
お花畑で、のんびり。
小鳥の声を聞いたり、
風に吹かれたり。
やぎさんたちは、草を食べながら
のどかな声を。
メーぇ。
それは、前の春の思い出です。
ずっと、そんな春が来ていたような
気もしますけど
春の前には、冬が来ていて
暖かくなって、雪が溶けて。
「アリエル、ごきげんよう」と
スノゥ・フレィクは、ふわふわと
雪が舞うように、お空から。
アリエルは、少しだけ寂しそうな
笑顔で
「春の、お花畑の事とか、思い出してたの」
フレィクは、アリエルの気持ちを思います。
「そう、私たちは雪の季節しか、アリエルには
会えないの。でもね、アリエルが思っていて
くれたら、いつでも会えるのよ。
遠い、南の海へ旅していても、私たちは
お友達だもの」
アリエルは、お友達、と言う言葉が
とてもうれしくて。
おじいさんの山小屋のそばには、アリエルの
お友達と言えば
やぎさんや、小鳥さん。それと
大きないぬの、ラルゴ。
坂を下ったところの小屋に住んでいる
オスカーくらいです。
女の子どうしでお話のできるって
やっぱり、楽しい。
そう、アリエルは感じています。
「ずっと、ずっと冬ならいいのにって
」アリエルは、そんな風につぶやきます。
フレイクは、アリエルに微笑んで
「わたしはね、雪の季節が終わったら
雪溶け水になって、川を下って。
海に出て。
暖かい南の海で、お昼寝したりして。
雲に乗るのよ。」
「雲、乗ってみたいなー」アリエルは
にこにこ。
ふんわりの雲に乗ったら、どんなかな?
遠い、あの白いお山まで見えるかしら?
青い空を、雲に乗ってお昼寝してみたいな。
今は、白い雲はお空にいっぱい。
今にも雪が舞いそうですけど
「あたしも、雲に乗ってみたいなー」と
アリエルの言葉に
フレイクは、少しだけお姉さんですから
微笑んで
「いつか、乗れるといいわね」と
春のお別れを、少し忘れている
アリエルを、愛おしむように。
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