第8話 アリエルの寂しさ

おじいさんは優しくて

山は、きれいで


ヤギさんたちも、かわいくて。



アリエルは、しあわせです。



でも、時々は


おとうさんや、おかあさんに

あいたいな、と

思うこともあったりします。



そんな事を、アリエルは

ゆきだるまさんにお話したりします。



「ゆきだるまさん、おとうさんは

今、どこにいるのかしら?」



ゆきだるまさんは、静かに

低い声で、お返事します。




「そうだね、きっと、どこか

遠くから、アリエルの事を思っているよ。

山の中では、お仕事が出来ないから。

おとうさんだって、アリエルに会いたいなって

思っているよ、きっと」




ゆきだるまさんに、低い声で

言われると、アリエルは


「ゆきだるまさんって、お父さんみたいね」と

にこにこしました。






そんな様子を、モミの木の上から

フレイクとウィは、見下ろして




「お父さんに会いたいのかなー」




「そうよ、だって、まだちいさいんだもの」





「あんまり、僕は思わないかなー」




「それは、わたしたちはアリエルより

少し大人だもの」





アリエルは、ゆきだるまさんに


「でも、町の暮らしよりも

わたし、山が好き!

おじいさんや、ヤギさんや、野原や

牧場。とってもステキだもの」と


いつもの元気なアリエルに戻ります。



ゆきだるまさんは、にこにこ。




でも、野原を駆け回る春になったら

ゆきだるまさんとは、お別れです。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る