第6話 アリエルと、おじいさん

おじいさん、アリエルが来るまでは

山小屋で、ひとりでした。


ひとりで暮らすのが、好きなのです。


山と、空、それを眺めて暮らせれば

もう、それだけで幸せだと

思っていました。



アリエルが来てからは、でも

少し、気持ちが変わります。



笑ったり、優しい気持ちになる事を


思い出したりして。



可愛いものを愛でているのも、良いこと

かもしれない、などと

思う事もあったりします。



巡る季節の中で、アリエルの

将来を考えたりする。



そう、ひとつくらい心配があった方が

いいのかもしれません。




おじいさんひとりなら、いつ

天国に行ってもいいと

思う事もありましたけど


今は、アリエルの事を考えると



健康でいなくては、と

思ったりもして。




そんなふうに、ひとは

可愛いものの為に

生きて行くのかもしれない、と


おじいさんは思う事もあります。

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