第8話 当たり前の関係

「あの俺と付き合って下さい!」



他高生からの久しぶりの告白。

しかも1つ下だ。




「えっ!?」



まさかの年下とは意外だった。


しかも他高生?




「俺、1つ下だけど、あなたの事が好きです。長く付き合っていける自信あります!」




≪凄い自信だなぁ~……≫




「お友達から、ゆっくりで良いのでよろしくお願いします」




とりあえずゆっくりと付き合ってみる事にした。


彼の名前は、多山 孝太(たやま こうた)君。



そんなある日の出かけた時の事だった。



「家に寄らない?」

「えっ?あ、うん」



私は躊躇う事なく寄る事にした。



「歌音さん」

「何?」




キスされた。



《えっ!?》




再びキスをされ、深いキスをされ押し倒され押さえつけられた。




「ちょ、ちょっと……待っ……」


「歌音さん。俺、歌音さんの事好きなんだよ。例え、歌音さんが好きではないとしても男の部屋に来るという事は何かあるって思わなかった?」


「……それは……」




≪油断してた≫




「好きな人を目の前にして抱きたいって思うのは当たり前でしょう?」





再びキスをし、深いキスをする孝太君。



「孝太君……待っ……」



キスをし、首スジから下へ下へと唇が這う。




「体は正直みたいだけど……初めてじゃないようだし抱かせてもらうから」



成り行きで関係を持つ事になる。





「ごめん…歌音さん…こんなつもりはなくて…」




謝る孝太君を怒る気になれず、今回は許した。


私も着いて来てしまったのだから………




だけど、その後、私の心に変化が……


デートをし、孝太君の事に対して本気になっていく自分がいた。




「孝太君……私と恋人として付き合わない?」

「えっ?歌音…さん」

「駄目…かな?」

「いや……本当に…良いの?」

「うん……」




私と孝太君は恋人として付き合う事にした。


その後、デートの度に関係を持つ事が当たり前になり普通だと思っていた。





ある日。



「歌音…俺達…付き合ってるけど、デートの度に関係持つのって…どうなのかな?」


「えっ?孝太…?」


「俺が求めないからって…歌音から俺を誘ってくるし…俺…歌音の相手するだけの人間?逆の立場でも考えられなくないよね?」


「孝太…?」


「もし、俺が歌音に愛情なかったら…ヤるだけの女って事になり兼ねないよ」




ズキン



「まあ…歌音の事嫌いじゃないけど…正直…好きなのか分からなくなってる。別れよう歌音」


「孝太…私……好きだから関係持つ。付き合ってるから関係持つって…」


「それ!そうとは限らないから!」



「………………」



「Hだけで恋人の絆が繋がってる訳じゃないから!男は好きでなくても平気で抱けるし、浮気なんて隣り合わせなんだよ!」



私はふと優綺の言葉が脳裏を過った。



確かにそういう事言っていた事を思い出した。



「……………」



「時には疑う気持ち持った方が良いよ」




私は帰る事にした。



「…ここ…」



気付けば足が勝手にある場所に来ていた。




「優綺っ!あんたねー……」


「あれ?歌音…?どうしたの?」

「優綺…ごめん…お邪魔だったみたいだね」



私は走り去る。



「歌音っ!」



グイッと腕を掴まれた。




「ごめん…姉貴、先に部屋入ってて」

「うん……」


「お姉さん……」

「俺の姉貴だから誤解するな」



「………………」



「とは、言っても信じてる様子ねーな。で?どうかしたのか?」


「ううん……大丈夫。帰るね」



グイッと引き止める。



「歌音っ!大丈夫って様子じゃねぇだろう?話してみな」


「……彼氏に……怒られちゃって……別れ告げられた……私……恋人同士だからHは付き物だって思ってて会う度に関係持つのって駄目だったんだね……」



グイッと抱きしめる優綺。



「お前は悪くないよ。確かに、時には拒む事も大切かもしれないけど、愛し合っているならって俺は思う。どんな思いで彼氏が歌音に言ったかは分からないけど深く考えなくて良い」



「…優綺…うん」

「送りたいけど一人で大丈夫か?」

「平気」

「そっか……」



私は帰り始める。



「歌音」



振り返る私にキスをする優綺。



「元気だせ!つーか……お前……Hした後?」

「えっ!?」

「いや……イイ女になってるから」

「イイ女って……」

「俺も抱きたい♪」


「バカ……」


再びキスをされ、深いキスをされ、名残惜しむように声が漏れた。



「…歌音…お前……ズル過ぎだろう…俺が求められない事を良い事に…今、すっげぇ独り占めしたいんだけど……」


「えっ!?」


「すっげぇ抱きたい…」

「な、何言って…」



グイッと私の手を掴み私を車に乗せる。



「ちょ、ちょっと…優綺?」



運転席に乗るとキスをされ車を走らせた。



「姉貴、彼女送って来る」



そう、連絡をする。



「優綺?」



優綺は車を走らせ高台に向かう。



「凄い…ていうか優綺、送るって……」

「うん、送るよ。その前に歌音を…抱きたい」



「えっ?」




ガタンと車のシートを倒すと押えつけた。



「優綺…待っ……」



キスをされ、深いキスをされる。



「歌音…俺に身を委ねて欲しい」

「優綺…」

「彼氏に嫉妬したかも俺…」

「えっ?」

「彼氏に嫌な事言われて辛い思いしてる時にって思うけど……」



優しい眼差しで見つめる優綺。


私の胸がざわつく。

優綺はキスをし、深いキスを何度もする。



「彼氏は忘れて……今はこの時間だけ俺だけ見て考えて欲しい」


「優綺…」




私達は1つになる。





あんな事あって


優綺と関係持つのは


最低行為かもしれないけど


優綺に委ねてしまう自分がいた


私は


軽い女?


体だけの関係の存在?




「歌音…ごめん…お前の事…傷付けた」

「優綺…」

「これじゃ…利用しているみたいだよな…」



私は優綺の両頬を優しく包み込むように触れる。



「私も同じだよ……優綺…に委ねる自分がいるから…いけないって思うけど……」


「歌音…」




私達はキスをし、深いキスをする。


そこから見る街並みの景色は宝石のようにキラキラと輝いて見えた。



「歌音…今はまだ体だけの関係に変わりないかもしれないけど……お互いが必要になる時あると思うから…」


「優綺…」


「何かあったら俺の所に迷わず来な!嫌な事を忘れさせてやるから。俺には何でも話せ」


「…話した後は、H付きの条件だけどね」


「えっ!?」


「だってそうだよ。でも…優綺だから…甘えてしまう…お互いの想いはないけど優綺との時間は…私にとって心の支えなのかもしれない」



「歌音…」


「ありがとう…優綺」

「俺こそ…」



私達はキスをし、私は優綺に送ってもらった。























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