第92話 第48.5局 弟子編①

 頭がガンガンする。目の前の紙に印刷された文字たちが、ただの記号の羅列に見えてきた。だが、僕はその意味を解読しなければならない。時間は刻々と過ぎていく。決められた時間までにこれを終わらせることができなければ・・・・・・。ああ、でも、段々文字がかすんで・・・・・・。


 いや、だめだ。こんなところで諦めちゃいけない。何のためにここまできたんだ。何のために、今まで努力してきたんだ。全ては、僕が決めたことじゃないか。熱はなかったんだ。頭痛がするだけなんだ。頭痛だけじゃ、追試験なんて認めてもらえない。がんばれ、がんばれ、がんばれ・・・・・・。





 キーンコーンカーンコーン・・・・・・





 現実は、無慈悲に僕に襲い掛かる。ああ、どうして・・・どうして今日・・・。


 ひどく痛む頭。思い浮かぶのは、あの人の顔。いつも穏やかで、楽しそうで、そして、とてもきれいな顔。


 ・・・・・・師匠。

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