困ったふたり

御法川マドンナ

1話完結



モテ過ぎて困ってる薔薇子さんと

モテなさ過ぎて困っているローズさんがおりました。


困っていたので

モテ過ぎとモテなさ過ぎを交換することにしました。




交換して

薔薇子さんは静かな生活に。


いつでもどこでもみんな、薔薇子さんを放っておいてくれます。

薔薇子さんが何をしても、気にする人はひとりもいません。

なんてすがすがしいんでしょう、なんて自由なんでしょう、と薔薇子さんは思いました。



そして

ローズさんは華やかな生活に。


いつでもどこでもみんな、ローズさんに夢中です。

ローズさんが何しても賛美の嵐です。

なんて気持ちいいんでしょう、なんて自由なんでしょう、とローズさんは思いました。



薔薇子さんはモテなさ過ぎを満喫し

ローズさんはモテ過ぎを満喫しました。



数年が過ぎ

薔薇子さんは、いつの間にかモテ過ぎに戻ってしまいました。

ローズさんは、いつの間にかモテなさ過ぎに戻ってしまいました。


ふたりは再び

モテ過ぎとモテなさ過ぎを交換しました。



しかし

しばらくの期間を経ると

薔薇子さんはモテ過ぎに

ローズさんはモテなさ過ぎに戻ってしまうのです。


しかもそのサイクルは次第に短くなり

今では

数日おきに交換し直さなければならない有様です。


交換し直しやすいように

ふたりは一緒の家に住むことにしました。




もしも

ふたりの家を訪ねることがあったなら

どうかローズさんに恋してあげてください。

薔薇子さんは放っておいてあげてください。


難しいかもしれないけど。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

困ったふたり 御法川マドンナ @madonna

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ