第8話 4月10日朝※結衣視点.2

私達の家から学校までは歩いて20分ほどとそう遠くはない。



「ねぇ翔、何か話さない?」

「別にいいけど何かって何だ?」

「……」

「ないなら振らないでくれ…」

「そうだ!しりとりしよう!」

「俺達高校2年生だよね?」

「……」



駄目だ!翔のことを意識しすぎて話が出てこない!あっ!縁石につまづいて転…

「おっと、大丈夫か?」

翔が受け止めてくれた…って、顔が近い!顔が近い!ヤバい、今絶対私の顔赤い…あれ?翔の顔も赤くない?



「転ばないように手繋いでおくか?」



ゑ?

ゑ?

えーー!

なにこれ夢⁉︎翔の方から手を差し出してくれるなんて!夢なら覚めないで!



「じ、じゃあ繋いでもらおうかな」

「お、おう」



ヤバい、カッコいいーー!女の子が転ばないように手を繋いでくれるなんてマジカッコいい!



「あれ?翔?」



そこにはニヤニヤ笑いを浮かべた蓮が立っていた。



「おう蓮どうした?」

「いや〜、一緒に仲睦まじく通ってるんだなと思って」

「結衣が一緒に行こうって言い出してな」

「手も繋いでいるようですけど?」

「結衣が転びかけたからな」

「ほう、そら大変なこった」

「まぁ歩きながら話そうぜ」

「おっと、俺は仲睦まじい2人を邪魔しないために走って行ってるぜ!またあとでな翔」

「ちょ…」



そう言って蓮は走って行ってしまった。



「手、繋ぐの嫌か?」

「そ、そんなことないよ!むしろ嬉しい!」

「そら良かった」



この後も他愛のない話をしながら私と翔は学校へ行った。

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