第2話

一先ず俺は初回無料ガチャを回す事にした。

画面上に青い空が広がる。

そして空から隕石の様なものが落ちてくるとそれが割れて淡い光に画面が包まれた。

其処から出てきたのは、四角い形状をしたスマホのアプリだった。


『〈ダンジョン検索〉』

『レアリティ・銅色 系統・アプリ』

『周囲のダンジョンを表示する事が出来る』


ホーム画面を押すと、〈神の遺産ガチャ〉の隣にアプリが出てきた。

名前から察するに、周囲のダンジョンを調べる事が出来るのだろう。

まだ初心者の俺にとって、これが良い代物なのか分からない。

レアリティが銅色だから、希少価値でも無いらしいし。


「………じゃあ他にも」


俺はガチャチケットでも使おうかと考えた。

俺が持っているガチャチケットの種類は豊富だ。

その中でも複数枚ある虹色確定ガチャチケットと選ぶ。

他のチケットとは違い、このガチャチケットは三枚もある。

一枚程消費しても問題は無いだろう。


さっそくガチャを回してみる。

画面上に輝く虹色の空、其処から落ちてくる隕石が虹色の光と共に割れる。


『〈楽園の箱庭ミニチュア・ガーデン〉』

『レアリティ・虹色 系統・アイテム』

『指輪型のアイテム。念じると自分だけの異空間世界に向かう事が出来る』


これは、当たり……なのか?

俺は早速アイテムを具現化してみて人差し指に嵌めてみる。

サイズはピッタリだ。俺は早速念じてみると、俺の目の前に黒色の穴が広がった。


「入っても……大丈夫、なんだよな?」


俺は恐る恐る、穴の中に入ると、体が落下して行って、芝生の上に落ちた。

芝生。俺は周囲を見渡す。学校のグラウンド程の広い敷地には、周囲を覆う様に外壁が建てられている。

空は青と紫の綾模様だったが光があるらしく、俺の体はくっきりと見えている。

芝生と外壁以外何もない空間だが、此処に居れば一先ずは安全だろう。


「はぁ……怖かった」


今更になって俺は先程起きた事を思い出す。

地震、ダンジョン。死んでも可笑しくは無かった。

自分が生きている事に感謝の言葉を心の内にした。


「………さて、これからどうしようか」


芝生の上に転がりながら俺は考える。

安全は確保出来た。なら次は、家族や友人の安否を確かめなければならない。

けど、何も無策で外に出るのは賢いやり方じゃない。

俺はスマホを見る。まだ事前登録で得た特典が幾らか残っている。


「………よし」


流石に全て回す様な真似はしない。

けれど、半分ほど回してみて、外に出て良い様な安全な対策はするべきだ。


「じゃあ、次は何を回そうか……」


ガチャチケットを確認する。

何を回そうか考えてみる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る