神崎ひかげVS断酒王VSシャーク・アームズ

あきかん

断酒王の帰還

 1人の女が地下へと続く階段を降りている。

 袴に胴着を羽織ったその女は、手にした一升瓶に入った酒をそのまま呑みながら下っていく。この女の名は神崎かげり。秘密結社『青蜥蜴』に客人として席を置く傑物である。

 かげりは地下室へとたどり着くと、男が繋がれている檻へと向かった。

「元気にしてるか、断酒王。」

「お陰様でな、茨木童子。」

 かげりは一升瓶を煽る。

「実はな、実験体が逃げ出した。それをお前に捕らえてほしい。」

「自分でやれよ。」

「生憎と殺生は御法度だとの通達が出ている。あれを生かして捕らえられるのはお前だけだ。」

 男はひかげを睨む。

「また、神酒ソーマを使ったのか。殺しておけば…」

「私の前でそんな事を言えるなら、体調は万全なんだな。」

 ギギギギ、と鉄格子が歪む音が響く。かげりは力ずくで鉄格子を折り曲げた。

「神殺しがお前の使命だろ。わかったら行け。これも返すよ。」

 そう告げると、かげりは手にしていた二本の刀を檻の中へと放り投げた。

「次はお前だ。今度は殺す。」

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