第14話 とんがりとんがり



でも、それは今,振り返って思うことで

その時は、まったく自分の事を省みようとは思わなかったし

そんな必要も感じていなかった。




ごく普通に楽しく毎日が過ぎていって、それだけで良いと思っていたのだ。



ただ、その子が最初は尖っている、今風の子だなと思っていたけれど

段々、可愛らしい、自然な表情を見せるようになったな、とは思った。





....すこし、打ち解けてきたのかな。





そんな風に思って、よかったな、と僕は思っていた。



単身、友達も居ないオフィスに来て、ひとりで仕事をするのは

結構若い女の子には辛いものがあるんだろう、なんて思って。



もし、困っていることがあったら助けてあげよう、とも思った。




もともと、僕はそういう部分があるのだが


ただ,最近は困っている人が少ないので(笑)別にする事が無かっただけ、でもあった。







それに、僕自身はちょっと変わっているところがあって

ひとりでぼんやりと、イメージを浮かばせて、それをメロディにしたり

時にはそれが、文章になったり。

映像を作りたい,と思ったりする事もあったりして。



そういう時間がとても好きだった。だから.....




22歳の頃だった。

幼馴染で、長い事友達だった子が、結婚をしたい、と考えるようになっても

僕には、なんとなくそれが至上のものには思えなかった。

好きではなかった訳ではないのだけれど、でも、まだその時は

自分のイメージ・フィールドを具象化して、その力を試してみたいとも

思っていた。


だから、待ってほしい、と彼女には言えず.....。


なんとなく、僕等は離れていった。



今考えると、馬鹿だったと思う。

イメージ・フィールドを使うのは,何も創作だけではなくて良いのだから。

ただ、そうしてイメージ・フィールドを使ってきたので

今は、技術解析にそのイメージを使う事が出来るのだけれども.....。




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