第33話 どういうこと
なにが起きたんだろう
亜美からキスされた様な気がする
亜美は、僕の事が好きなのか?
あれだけ、冷たい目線を送っていた亜美が
なんで、キスをしてきたの
その答えは、亜美にしか分からないし
この事を確認する手段がない
直接、聞く事もできるけど
僕と亜美が二人きりになる事はほとんど無い
必ず、あゆみと真奈美ちゃんがいるから
無かった事にする事が良いに違いない
亜美もきっと、少しの興味があっただけだと思う
真奈美ちゃんは保育園の時からキスはしていたし
あゆみも最近、キスをする様になった
でも、亜美があゆみとキスをしている事は知らないはずだし
キスに対しては良いとは思っていない
じゃ、なんでキスなんかしたのか
新学期が始まれば何時もと同じ生活に戻るだけ
亜美が僕の事を好きになるわけが無い
頭が言い訳でも無いスポーツが得意でもないし
そんな、僕に亜美が好きになってくれるとは思わない
あゆみも真奈美ちゃんも母子家庭と言う環境で生活しているから
寂しい気持ちが分かるからお互いを求めているのはわかる
でも、亜美は本当にわからない
考えてもわからない
僕は僕なりの冬やすみを過ごすことにした
そして
三学期になった
いつもの様に過ごせば良いだけ
いつもの様に
僕は、小学校に行くとき、登校班ではいかな
なんで、一緒に行かなくてはいけないのか
その為に早く集合場所に行かなくてはいけない
その時間は僕の好きなアニメが放送されてるから余計に一緒に行きたくない
最初の頃は班長が迎えに来てたりしていたが今は迎えに来ない
始まりのベルが鳴っている
大体の子はベルがなる前に学校に入っている事だろう
でも、僕はベルの時間に学校に入った事はほとんど無い
話す相手がいないのに早く着いてしまったら
その待ち時間が苦にしかならないから遅く行く様になった。
それが、生活習慣だったこともあり
亜美と話す時間が無いので
そこの部分はホッとした
あゆみ、亜美、真奈美ちゃんがいつもの様に笑いながらおしゃべりをしている
いつも、見る光景で何一つも変わってなくて良かった。
僕は、話かけられる事を避けていた
何とか一日だけでも良いからと
僕はおどおどしながら時間を費やしていた。
いつもより疲れを感じていたのか
帰りのベルと同時に僕は席を立った
「けんいちくん」
声が聞こえた
振り返ると先生が僕の事を呼び止めていた。
「ちょっと職員室にきて、係りの仕事だからちゃんと来るんだよ」
僕はランドセルを机に置いて職員室に向かった。
一通りの話を聞いて教室に戻った。
この時間なら誰も居ないから気が楽だったのに
今日は違った。
あゆみが教室にいた。
「なんか今日、少し元気なかったから待ってた」
そんな事、無いと思うんだけど
「それなら、それで良いんだけど、じゃ一緒に帰ろっか」
僕は「うん」と言って
ランドセルを取った。
あゆみは冬休みの話をしてくれていた
いつもなら、あゆみと話してる時間は楽しいのに今日は
そこまで楽しい時間ではなかった。
僕にとっては冬休みなんていつもと変わらない日常だった
だから、楽しい時間の話をされても正直わからない
あゆみのお喋りは分かれる所まで止まる事はなかった。
あゆみと別れ家に向かって歩いた
玄関の前に立っている人がいた
近づいてみると亜美が立っていた
どうしたの?って亜美に聞いた
「なんか、元気が無いように見えたから」
そんな事、無いよ
「誰かと遊ぶ約束した?」
今日は、誰とも遊ばないよ、三人以外で遊ぶ日なんてほとんど無いし
「確かにそうだよね」
「じゃ、今日は私とあそぼ!」
うん、良いよ
僕は、ランドセルを置くために鍵を開けた
亜美が一緒に家に入ってきた
どうしたの?
「この間の続きしたいな」
「真奈美ちゃんと同じことしたい」
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