第20話 孤独が怖い
あゆみのお母さんに怒られた日を境に僕はあゆみの家に遊びに行かなくなった。
唯一の救いは一緒に帰る日が増えた事
僕には十分すぎる幸せだった。
一緒に帰る事が増えた理由は怒られた事ともう一つ
転入生、菊池亜美の存在が大きいかもしれない
あゆみと同じ女の子グループで帰る方向も一緒という事もあり三人で帰るのが普通だった
亜美の家はあゆみの家の近くで
同じ道沿いにある一戸建てに住んでいた
僕が真っ直ぐ行くのに対して二人は右に曲がる
二人と別れると僕はいつもの様に一人家で時間を過ごす
夕方になりだんだん空が暗くなっていく電気をつければ良いのに面倒で
そのまま目を瞑る
するといつの間にか夜になっている事が多い
そして、今日も夜になった
空腹を教える音が鳴り僕は冷蔵庫に向かい中を見る
麦茶しかない
生きるために沢山の事を学んだ
花の蜜、くわの実、食べ物に対する執着
それだけでは
餓死してしまう事
空腹を満たすために何をしないといけないのかを考えるようになった。
はじめは怖かったガスを使うこと
禁じられていた事もあり始めてガスのレバーをひねった時の音と点火しない時の恐怖は今も鮮明に覚えている
ガスを使える様になった僕は駄菓子屋さんで売っていた30円のカップ麺にお湯を注ぎ食べていた。
それに気がついたのは近くの駄菓子屋さんで子供たちが食べていた姿をみて気になったのが始まり値段なんて気にしなかった。
落ちている物は手にするけど万引きはしない家があるだけで幸せだ
母が家に居ないと言うことは母が家のお金を払っているから
いつ帰ってくるかも分からない
声も忘れた、顔も忘れた
でも、僕が事件を起こしたらもっと貧しくなるし迷惑をかけるなんて出来ない
きっとそんな事を思っていたのだろう
僕はその30円を手にするために瓶を集めるようになっていた。
以前、大家さんが瓶をタバコ屋さんに持って行くとお金に変えられる様な話しをしているのを聞いた記憶があった
その30円の為に僕は僕よりも高い雑草の生えた土手に入って瓶を探すそれが日課となっていた。
暗くなるまで探して家に帰る
「ただいま」と言う言葉なんて忘れちゃう
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