第12話 お父さん
僕は保育園を卒園した。
4月から小学生になる僕はまたイジメられるだろうと思うと
心は躍らない他の子はきっと心が躍っているんだろうな
まったく行きたくなかったが
そんな事ができるわけもないそれが子供の選択肢だったはず
3月も下旬になり何故かボロ家から引っ越すと母から言われた
小学校までは遠くなったが学区内だったのでそのまま通うことになる
今までとは全く違う家だったそこは僕の幼少期に住んでいた様な家だった。
2階建てだったが庭がない感じだが清潔感のある家だ
なんでだろうと言う感情はなかった。
だって、期待したところで現実はそう簡単に変わることは無いと思いながら生きていたから
引っ越す前日に僕は大家さんのお店にご飯食べにおいでと言われ
お店に行った。
そこはいつも見るお店とは違う感じだった
いつもは暗い感じのお店だったが今日はお昼だった事もあり明るかった
お店の常連やお店で働いているお姉さんが僕に寄ってきて
卒園おめでとう!と言ってくれた
僕はなんで涙がでたのかわからない
でも心の中がすこし晴れた様なきがした
そして、大家さんが大きな箱を持ってきて僕に渡してきた
僕は何も考えずにもっらた
大人が早く開けてごらんと急かすように言ってきたので開けた
そこには黒いランドセルが入っていた。
顔がぐちゃぐちゃになるくらい無感情で涙が止まらない
きっとこんなに泣いたのは生まれて始めてかもしれない
引越し当日、大家さんが僕を強く抱きしめてくれた。
そこでも、自然と涙がでた
引越し先とお店はそんなに離れていない
引越し先の家からお店まで子供の足で15分くらいだろう
そして
お店から学校まで5分とかからない
そんなに離れていないのに永遠の別れのように感じた。
小学校の入学式まであと数日といったところだろうか
家のチャイムが突然なった。
いつもの様に僕はどちら様ですか?と聞く
返事が無く再度、聞いたそしたら僕の名前を言う男の声が聞こえた
僕はなにも躊躇することなく玄関をあけてしまった。
そこには見たことの無い人だった。
急に男は僕を抱きしめて泣き始めた
「お父さんだよ」
「元気だったか?」
「ランドセルは買ったか?」
戸惑った
でも
心は温かくなった
僕の父の記憶はそこで終わった。
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