番外編 プレゼント
遂にショールができた。
黒神狼の毛皮で作った特別製だ。
とても触り心地がいい。
僕はショールを持っていくため、王城を訪れた。
―――――――――――――――
☆王城【応接室】
「黒神狼の毛皮を使ったショールです。シャルミア姫」
僕はシャルミア姫にショールを渡した。
今、応接室には国王、シャルミア姫、僕の3人だけだ。
「まぁ!ありがとうございます!大切に使わせていただきます」
シャルミア姫は嬉しそうに笑顔を見せながら受け取った。
さっそく着用した。
薄ピンクのドレスを着ている幼い見た目のシャルミア姫が、なんだか大人の女性に見えてきた。
「どうですか?」
シャルミア姫が僕の方を見ながらモデルのようなポーズをした。
「凄くお似合いです」
「うむ。とても美しいのぉ。シャルミアよ」
僕と国王に絶賛され、シャルミア姫はとても嬉しそうだ。
喜んでもらえてよかった。
―――この日、シャルミア姫と王城の庭を散歩して2人の時間を楽しんだ。
―――――――――――――――――――――
☆サランド領【レイジェント邸】
僕は王都からサランド領に戻った。
次はレイア姉様にショールを渡す。
Sランクになり、レイジェント邸に帰った時にご機嫌を取るため、この話はしてあったのだ。
「レイア姉様。以前お話ししたショールができました」
そう言ってレイア姉様に渡した。
シャルミア姫とは少しデザインが違う。
全く同じやつ渡したら煩そうだし…。
「ありがとー♪コー君♪大切にするね♪」
レイア姉様はショールを大事そうに抱きかかえながら喜んでいた。
よかった。喜んでくれた。
―――レイア姉様は一日中ショールを離さなかった。
なぜか僕の部屋で寝るレイア姉様。
この日はショールを抱えたまま寝ていた。
我が姉ながら可愛い。
――――――――――――――――――――
☆エークドル領【ファルド伯爵邸】
最後は師匠に渡しに行く。
僕はファルド伯爵邸の応接室へ案内された。
ファルド伯爵は忙しいらしく、今この部屋にいるのは師匠と僕、メイドさんの3人だけだ。
「今日は師匠にこれを渡したくて来ました。受け取ってください」
僕はショールを机の上に置いた。
「ありがとう。コー。とても綺麗な黒色ね。触り心地もいい。これは…どうしたの?」
師匠はショールを触りながら、僕に聞いて来た。
「実は…僕にゴースリア王国とダルパニア王国の合同依頼で黒神狼の討伐がありまし―――」
「…えっ?1人で!?」
僕が言い終わる前に師匠が驚き、食い気味に聞いて来た。
「はい。1人で討伐しました」
「凄いじゃない!流石コーね。もしかしてこれ…黒神狼の素材を使って?」
師匠はショールと僕を見ながら聞いて来た。
「はい。毛皮をふんだんに使ったショールです。師匠とシャルミア姫、僕の姉に作りました」
「とても貴重じゃないっ!そんなの申し訳なくて貰えないわ…」
師匠が返そうとしてくる
「いえ、師匠には1番受け取っていただきたいです。師匠に魔力の使い方を教わらなければ、僕は負けていたので」
僕は師匠の目を見ながら、真剣な顔をして答えた。
「そ…そう…。ありがとう。コー。でも本当申し訳ないわ…あなた出来が良過ぎて師匠って呼ばれていいのかとすら思えるし…」
師匠が鋭い目つきをしながら悩んだ様にこちらを見た。
「ナチールさんは間違いなく僕の師匠です」
師匠は鋭い目つきだが、ちょっと涙がこぼれ落ちそうになっている。
「ありがとう。コー。ふふっ…私ね、王都学園で魔法科の先生になるのよ。その時にこれ、使わせてもらうわ」
師匠は満面の笑みでショールを抱えながら僕にお礼を言った。
(師匠、先生になるのか!生徒は幸せ者だな)
――――僕はファルド伯爵邸でカレーライスをご馳走になり、一泊してからサランド領へ帰宅した。
――こうして、無事3人にショールのプレゼントを渡すことができたのだった。
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