第725話 アンドレ戦②

 土の化身アンドレは体力を全回復した上にデバフを消した。


 前回の大地の迷宮完全攻略時も耐久力の高いアンドレは倒しきれず、この広間を抜けるため、鍵を奪う作戦をとった。


(慌てて、さっさと回復したな。デバフ後の攻撃は結構効いている。いや、流石に安全牌をとっただけか。前回してやられているし)


 アンドレ戦が始まって既に15分が経過している。


『ふう、危ない。いや~厳しい戦いになりそうだ。それで残り時間はどうなのだ。ん? 何々、あと1時間45分か。この先のオリハルコンの鉱床にたどり着けたらよいな』


(騙し合い好きな性悪なのは相変わらずか。だが、ミニ土偶隠しているのに時間が分かると。だが、まあ、さすがにお前が目標だとは流石にまだ思わないようだな)


 後ろ足で立ち上がり、全長300メートルの体を起こし、完全に拡幅したことを前足で確認している。

 オリハルコンで出来た顔で焦った振りが人を不快にさせる。


 アンドレはあくまでも扉の先にあるオリハルコンの鉱床が、アレンたちの目的だと勘違いしているようだ。


『攻撃範囲もそこまで広くないし問題なさそうだ。大精霊様も攻撃主体で。ブレスに注意して立ち位置は注意してくださ。メルスは大剣装備にして攻撃主体で良いぞ。防具も動きやすさを優先させてくれ』


 作戦は鳥Fの召喚獣の特技「伝達」を通じてアンドレの背後にいる仲間たちにも一緒に伝える。

 アンドレが大きすぎて、アレンたちが何をやっているのかソフィー、ルーク、フォルマールたちは視認できていない。


 アレンは今の状況なら総攻撃で倒せると踏んだ。


 水の大精霊トーニスも含めて、攻撃に当たれる全ての大精霊たちが一斉に攻撃を開始した。


『ほう、儂も攻撃で良いのかの』


 普段回復役である、杖の先端に貝殻をもったローブを着たヨボヨボの爺さんである水の大精霊トーニスは、水の塊を生成し、今にも発射しようとアンドレの背後に狙いを定める。


『おう、やっとか。暴れるぜ!!』


 ビキニアーマーで燃えるように真っ赤な髪の火の大精霊カカが好戦的な笑みを浮かべてつっこんでいく。


「よっし、何度でもかけてやるぜ。呪詛禁刃!!」


『うあああああああああああああ!!』


 アンドレは背後で暴れるソフィーやルーク、大精霊たちに不快そうになる。


『またか! 背後からちょこまかと!!』


(いや、背後を責める余裕はないはずだ。よし、ムートンの酸攻撃にメルスは合わせてくれ)


 毒沼の大精霊ムートンの酸攻撃が効いて耐久力が落ちたところで、メルスに天使B「大剣」の覚醒スキルを発動するように指示する。


『むん! トールスラッシャー!!』


『んぐあ!?』


 メルスが天使B「大剣」に武器を持ち替えて、覚醒スキル「トールスラッシャー」による大技を使う。


 さらに斬撃を与えた後、跳ねるように飛び上がり、メルスの背後にいたマグラが特技をお見舞いする。


『絶対零度!! ぐおおおおおおおおおおおおお!!』


『んぐぐ!!』


 反転しようとした体表がカチカチに凍り始める。


(いいね。竜王の魂分ブレスの威力が増しているな。マクリスのフリーズキャノンよりも断然高威力だ)


 マグラは竜系統とあって、ブレスと物理攻撃に特化した特技と覚醒スキルを持っている。

 アンドレの弱点のブレスを持っており、ルークたちが大勢を下げてくれるので効果は倍増だ。


【マグラの特技・覚醒スキルの効果簡易版】

・切り裂く

 強力な切り裂く一撃

・炎極殺

 火属性の強力なブレス

・絶対零度

 氷属性の強力な属性。氷塊にして封じ込める

・無限断絶

 耐久力、耐性貫通の強力な一撃。無属性。クールタイムは1時間

・竜鱗

 常時発動スキル

 物理、魔法、ブレスのダメージ3割減

・竜王の魂

 全ステータス10万上昇の武器と防具を纏う

 ブレスの威力1・5倍

 バフの計算に乗算されない。持続時間1時間。クールタイム1日

・聖珠生成

 10日に一度、聖珠ポイント29の聖珠を生成

 聖殊は攻撃力、素早さ特化


『どれだけ攻撃しても同じことよ。むん!!』


『アレン殿!!』


 全長30メートルの大きさのゴリラの姿で、3対の腕を持つルバンカが躍り出て、後足が凍ってしまったアンドレが前足を振るい、アレンに襲い掛かるが、庇うように攻撃を受ける。


「ルバンカ、行けるか?」


『問題ない。「獣の血」、「幻獣化」、「嵐獣化」だ! ぐおおおおおおおおお!!』


 ルバンカは続け様に特技、覚醒スキルをかけ、自らのステータスを強化していく。

 肉弾戦と自ら強化するバフの多さがルバンカの良さだ。


『ぬぐぐ!?』


 6本の腕で雨あられのように攻撃を受け、明らかに不快そうだ。


(ルークたちのデバフ攻撃もあって封印された「嵐獣化」の威力も大きいと。それにしてもリオンのステータスはそこまで高くないのに思いのほか痛そうだな。不死属性が上位属性だからか)


 バフがそこまで多くない状況で自らのステータスを強化するスキルが多いのは助かる。


『むん! 無限天元突!!』


 高速で突いた神A「蓋世天錫」の先端が、残像を残しながら10個に分かれ、アンドレの腹部を迫る。


『ぐあああ!?』


 メルスやルバンカの攻撃はルークとムートンのコンビでガンガンデバフが効いているためなのだが、それ以上にリオンの攻撃でアンドレは悲痛を浮かべてしまう。


 老齢マッチョのリオンは、神A「蓋世天錫」の先端の金色の輪をカシャカシャと震わせながら特技「伸縮自在」を発動させて、アンドレとの距離を上手く詰めながら、ガンガン攻撃する。


・リオンのステータス(+神A「蓋世天錫」)

 【体 力】132600+55000

 【魔 力】119600+45000

 【攻撃力】132600+55000

 【耐久力】119600+45000

 【素早さ】132600+45000

 【知 力】145600+45000

 【幸 運】119600+45000

 ※強化、金の卵、防御茸、大精霊神の加護、精霊神の祝福あり

 ※神Aの召喚獣は成長レベル9および強化および王化済み

 ※神Aの召喚獣は武器枠のため大精霊の加護、防御茸、金の卵対象外


【リオンの特技・覚醒スキルの効果簡易版】

・伸縮自在 

 自ら体を最大100メートルまで大きくすることができる

 大きくなってもステータスは変更なし

 発動なしのノーマルの状態は10メートル

 肢体の部分巨大化も可能など汎用性高し

 武器Aを巨大化したり、伸ばすことも可能

・不倶戴天

 受けた攻撃、魔法、ブレスに自らの次の攻撃の威力が増していく

 物理攻撃は物理攻撃の威力が乗り、魔法、ブレスもそれぞれの威力に乗る

 自らの攻撃発動後、効果は一旦リセットされる

 複数攻撃の特技や覚醒スキルの場合は全ての攻撃に最大限乗る

 常時発動スキル。消費魔力は1000

・無限天元突

 10回同時突き。不死属性。神Aの武器が発動に必要

 一瞬で同時に攻撃するため、ほぼ一撃で10回攻撃可

・不死属性付与

 対象1体に不死属性を付与。効果は1時間

・合体吸収

 発動すると「封印された体はありません」とログが表示

・輪廻転生

 倒されると体力、魔力が最大回復で、バフ引継ぎ、デバフ解除の状態で復活する

 不倶戴天の効果も切れない

 常時発動の覚醒スキル。消費魔力は1万。クールタイムは1分

・因果応報

 受けたダメージの分、次発動した攻撃の威力が増す。

 一度発動すると効果は切れる

 体力100%削り切るほどのダメージだと、次の攻撃は2倍の威力

 常時発動の覚醒スキル。消費魔力は1万。クールタイムは1分

・封印〈頭〉封印のため効果不明

・封印〈胴体〉封印のため効果不明

・封印〈右腕〉封印のため効果不明

・封印〈左腕〉封印のため効果不明

・封印〈両足〉封印のため効果不明

※クールタイムの記載のないものはほぼ無し。発動や動作に時間は必要

※不死属性は神聖および暗黒属性に匹敵する最上位属性


【神Sの武器・蓋世天錫(がいせいてんじゃく)の効果簡易版】

・天誅殺

 不死属性の突き。低確率で即死効果あり

・森羅万象

 あらゆる耐性、属性、バフを貫通して攻撃する

・錫杖術〈9〉

 常時発動。錫杖さばきが巧みになる


(これほどまでに属性が優位になる戦いとはな。耐久力や耐性的にはまだまだアンドレが優位なはずだけど……。まあ、防御属性も不死属性のネスティラドがなかなか攻撃が通らなかった理由なんだけど)


 ダメージの大小は、互いの攻撃力、耐久力、耐性などによるが、それと同様かそれ以上に、属性による優劣はとても大きい。


 メルス曰く、不死属性にぎりぎり耐えられる属性は神聖属性と暗黒属性くらいだと言う。

 土属性のアンドレでは耐久力、耐性以上に属性によるダメージ増加が大きいようだ。

 ルークたちによってデバフが効いてしまって余計大きなダメージを受けているとアレンは分析する。


「よし、俺も出るぞ!! これなら勝てそうだ」


 アレンは全ての作戦が上手くいっていると判断した。


『うむ。マジックイーターであるな!』


 憑依合体しているグラハンがアレンの作戦が分かって強く頷いた。

 アンドレが体力を回復させては、ダメージを負わせるという戦いが続いていく。


 アレンは戦闘に参加しつつ、アレンの剣にグラハンの特技「マジックイーター」の効果を乗せ魔力を奪う。

 霊力があるなら霊力を奪う。


 アンドレは大地の癒しで体力を全回復させて、デバフは解除するが、クワトロの特技「鑑定眼」で霊力の回復はされていないことは気付いていた。

 長期戦になるものの倒すだけで良いなら、霊力を削り切って、スキルを使わせないようにして倒せばよい。


 30分近い攻めによって、アンドレの霊力が残り3割を切ろうとするほど減っていった。

 アンドレは前後の絶えまない攻撃に自らの体力を回復させるに終始していた。

 倒すだけでよいなら1時間ほどの余裕がある。


『ぐぬ……。このままでは、貴様ら我を本気にしたことを後悔させてくれる!!』


(ん? 体力回復する気か。まだ別の攻撃があんのか?)


 アンドレの表情にこれまでの回復ではない何かを感じる。

 もしかして、奥の手でもあるのかと考えていると、アンドレは次の行動に出た。


『神技発動(アルティメット=グランド=タートル)!! 神技「大地の守り」!!』


 バチバチ


 全身に溢れるほどの霊力と魔力が溢れ、体表で閃光のように弾けている。

 背中のオリハルコンの突起がさらに禍々しく伸び、全身を凶器へと変えていく。


「ちょっと、まさか!? 神技使ってるわよ!!」


「凄いな。全ステータスが10万も増えたぞ。ん? 霊力をさらに込めるぞ!! 皆下がれ!!」


 魔法耐性が高いアンドレであっても、少しでもダメージをと魔法を放っていたセシルが絶句する。

 アレンはクワトロの鑑定眼で見た目と一緒にステータスが変化することに気付いた。


『大地の怒りよ!!』


 両の前足を掲げ、体を起こしたアンドレが腹の甲羅を床石に叩きつけた

 床石がまるで津波のようにアレンたちに押し寄せてくるのであった。




あとがき

―――――――――――――――――――――――――――――――――、

☆とフォローお願いします

☆1万達成しました(*'ω'*)ありがとう!


ヘルモードコミック10巻発売です。

アニメ化祝いに何卒お求めのほどお願いします!!

コミックアース・スター

⇒https://comic-earthstar.com/episode/14079602755509007146


書籍、コミック、サポーターの支援金により執筆活動を続けていられます。

また、たくさんの応援コメントが励みになっております。


影でアニメ監修のメールを必死に返しながら、WEB版更新、書籍刊行作業、コミック監修の1年でした。

来年は本気を出しますので、何卒、引き続き、熱い声援をよろしくお願いします!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る