第620話 天使Bの召喚獣

 セシルに説明しつつ、できることできないことを霊Bの召喚獣の協力を得て進めていく。


【目録の効果】

・魔力を消費しない

・召喚獣ごとに目録は割り振られており、召喚獣間で共有はされない

・手を出し意識すれば「取る」「入れる」「交換」が速やかに完了する

・手がない召喚獣でも口で咥えたり、足でつまんでも、武器の先で運んでも、目録に入れることができる

・アイテムを最大1万個まで収納できる

・マスの大きさは縦横最大100メートル、最小3センチメートル

・使用しないマスは召喚獣ごとに増やしたり減らしたりできる

・マスの色は、白色から無色まで召喚獣ごとに変更可能

・召喚獣を削除すると、目録に入っているアイテムは魔導書に収納される

・ホルダーに収めたカードの状態なら、魔導書の収納した状態で、目録へアイテムを移動できる

・魔導袋など収納アイテムごと1つのマスに入れることができる

・目録の中に入ったままアイテムを使用できない


「魔導書から一気に目録へアイテムを移動できるのか。確かに便利だな。これで巨大なアイテムも運ぶことができると」


(便利なんだけど。いや、文句を言うのは良そう。そうだ、ほら、巨大な岩とか目録に入れて空から落とすこともできるし。これからの戦いにどれだけ役に立つか分からないけど)


 無理やり攻撃にも使えると言い訳をする。

 ただし、魔神相手なら100メートルを超える大岩を空高くから降らせたらそれなりにダメージを与えられるだろうが、亜神級の霊獣ならそこまでダメージは与えられないだろう。

 魔力を込められていない物質の威力などたかが知れている。


「さて、次は天使Bの召喚獣を召喚してみるぞ」


「もう良いのね。ようやくメルスのほかに天使の召喚獣を出すことができるのね」


 アレンは創生スキルのレベルが上がって、創生出来るようになった天使Bの召喚獣の検証に入る。


 アレンは既に霊Dと竜Cの召喚獣を創生して召喚できるようになっている。


・見た目、女の子の市松人形の霊Dの召喚獣

 【種 類】 霊

 【ランク】 D

 【名 前】 マツヒメ

 【体 力】 120

 【霊 力】 200

 【攻撃力】 150

 【耐久力】 200

 【素早さ】 100

 【知 力】 200

 【幸 運】 100

 【加 護】 耐久力20、知力20

 【特 技】 針千本

 【覚 醒】 伸びた毛


・見た目、バジリスクの竜Cの召喚獣

 【種 類】 竜

 【ランク】 C

 【名 前】 コドン

 【体 力】 350

 【霊 力】 400

 【攻撃力】 500

 【耐久力】 400

 【素早さ】 500

 【知 力】 250

 【幸 運】 200

 【加 護】 攻撃力50、素早さ50

 【特 技】 凍える息

 【覚 醒】 石化の息


〇特技「針千本」の効果

・霊力で作られた針を1000本飛ばす

・針の威力や射程は知力に依存する

・無属性攻撃

・クールタイムは5分


〇覚醒スキル「伸びた髪」の効果

・1万本になる頭の毛が伸びる

・伸びる毛の長さは知力×メートル

・伸びた一本一本の毛を自在に動かせることができる

・毛の強度や耐久力に、毛の強さは攻撃力に依存する

・効果は1時間

・クールタイムは1日


〇特技「凍える息」の効果

・氷属性の息を周囲に吐く

・威力は攻撃力に依存する

・クールタイムは5分


〇覚醒スキル「石化の息」の効果

・石化効果の息を吐く

・威力は攻撃力に依存する

・石化になるかは敵の知力や耐性に依存する

・石化効果は1時間

・クールタイムは1日


 期待に胸を膨らませて、アレンは生成、合成、創生のスキルを駆使してあっという間に天使Bの召喚獣のカードができた。


 ポンッ


 目の前に現れたカードを手に取った。


「創生スキルは便利な召喚獣だからな。って、ん? 輪っかか?」


「何よ、ちょっと見せて、って輪ね。なんかごつごつしているけど」


 アレンが握る天使Cの召喚獣のカードには天使の姿が映っていなかった。

 今まで召喚獣の姿がどれも浮かんでいたのだが、天使の部分と言えば部分なのだが、輪にしか見えない。


 メルスを頭上から見たことなどないが、天使の輪を上から見たら、こんな円の構造なのだろう。


 ただ、どこかこの円状をした構造に違和感があった。

 ドットが荒いのか、PNGとJPGの違い以上に写りが粗い。


 仲間たちも同じ疑問を持ったようで、お互い首を傾げ、セシルと見つめ合ってしまう。


(とりあえず、召喚してみるか。なんか、巨大な天使の頭の部分なのかもしれないし)


 今までにない角度で召喚獣のカードの絵を映し出しているだけなのかもしれない。


「よし、天使Bの召喚獣、召喚、って、ぶ!?」


「何よこれ! でかいわ!!」


 アレンとセシルが見たのは、外壁の先の宙に浮いた巨大な輪だった。

 輪の目が粗いためか、ゆっくりと時計回りに巨大な輪が回っている。


 獣人や竜人も気付いた者がいるらしく、この半径十メートルを超える輪っかを指さすものがいる。


 十メートルほど離れたところにある無数の武器に、アレンは近づいてみる。


(これは輪の形をした集合体だな。って武器か? 召喚獣が武器ね)


 アレンは自らを落ち着かせてみると、視界の先に出来た輪が何なのか分かった。


 武器が数珠つなぎとなって、巨大な輪を形成し綺麗に円状に並べられ、グルグルと回っている。

 剣と盾、大剣、斧と盾、大斧、槍、薙刀、鞭、ブーメラン、手裏剣まである。

 古今東西のあらゆる武器が装備の組み合わせごとに一組ずつあるようだ。

 大剣や大斧はクレナやドゴラが持つ程度の大きさなので、巨人が持つようなものではなく、大人の人間サイズだ。


 土星の輪が近くで見れば氷や石の塊だといううんちくを思い出した。


 パラパラ


 魔導書を開いてみる。

 そしたら、天使Bの召喚獣専用のページが用意される。

 めくってみるとどうやら100個の武器のそれぞれのステータスが表示されている。


・見た目、剣と盾の天使Bの召喚獣

 【種 類】 天使

 【ランク】 B

 【名 前】 雷冥剣、天譴の盾

 【体 力】 1000

 【霊 力】 1000

 【攻撃力】 3000

 【耐久力】 3000

 【素早さ】 1000

 【知 力】 1000

 【幸 運】 1000

 【加 護】 全ステータス100

 【特 技】 マジックシールド、剣術〈7〉

 【覚 醒】 スパークリングスラッシュ


・見た目、鞭の天使Bの召喚獣

 【種 類】 天使

 【ランク】 B

 【名 前】 雷天鞭

 【体 力】 1000

 【霊 力】 1000

 【攻撃力】 4000

 【耐久力】 1000

 【素早さ】 2000

 【知 力】 1000

 【幸 運】 1000

 【加 護】 全ステータス100

 【特 技】 無双鞭、鞭術〈7〉

 【覚 醒】 ライトニングウィップ


(武器によって上昇するステータスが変わると。盾がセットのものよりも、武器一択の方が、攻撃力が上がるのか。どの武器もスキルに雷属性が多いな。ふむふむ、なかなかいい武器だがこれじゃあ攻撃力が低すぎて使えないな。ほかのBランクの召喚獣みたいに成長するのか。って、普通に成長した。指揮化もできるんだっけ)


 アレンは天使Bの召喚獣に成長スキルをかけてみる。

 すると魔導書に表示された全てのカードが一気にステータスが上昇する。

 アレンの今のスキル「成長」のスキルレベルなら、Bランクの召喚獣は成長レベル7なのであと2つ成長させることができる。


・成長レベル8の剣と盾の天使Bの召喚獣

 【種 類】 天使

 【ランク】 B

 【成 長】 A

 【名 前】 雷冥剣、天譴の盾

 【体 力】 8000

 【霊 力】 8000

 【攻撃力】 15000

 【耐久力】 15000

 【素早さ】 8000

 【知 力】 8000

 【幸 運】 8000

 【加 護】 全ステータス2000

 【特 技】 マジックシールド、剣術〈8〉

 【覚 醒】 スパークリングスラッシュ


・成長レベル9と指揮化した剣と盾の天使Bの召喚獣

 【種 類】 天使

 【階 級】 将軍

 【ランク】 B

 【成 長】 S

 【名 前】 雷冥剣、天譴の盾

 【体 力】 10000+5000

 【霊 力】 15000

 【攻撃力】 30000+5000

 【耐久力】 30000+5000

 【素早さ】 10000+5000

 【知 力】 10000+5000

 【幸 運】 10000+5000

 【加 護】 全ステータス4000

 【特 技】 マジックシールド、剣術〈9〉

 【覚 醒】 スパークリングスラッシュ


「すごいぞ! なんだ、指揮化と成長させたら神器並みか? いや、それ以上の武器と防具だぞ!」


 神器でも攻撃力の上限は3万だと記憶している。


「そうなの、すごいじゃない」


「よおおし、これで俺も最強の剣士だ!」


(しかもスキルレベルが成長させると上がっていくぞ。俺の剣術がクレナを超える時が来たようだ。天騎士など襲るるに足らずや)


 これまで焦がれに待ち焦がれた武器がある。

 しかもどうやら、100種類に渡る武器の組み合わせだ。

 アレンは意気込んで手を伸ばし、宙に浮く武器のうちの1つで、剣に触れた。


 ブンッ


『これは召喚獣の専用武器です』

『これは召喚獣の専用武器です』

『これは召喚獣の専用武器です』


 魔導書がいきなり現れ、けたたましく警戒のログが流れる。

 アレンは慌てて、剣から手を引っ込めた。


「えええ……、これは召喚獣の武器だと。そんなことがあるのか。ちょっとエリー、その鞭を持ってみてくれ」


 アレンは霊Bの召喚獣を召喚した。


『分かりましたデス。こうデスか?』


 霊Bの召喚獣が宙に浮く武器の1つで、鞭を触れてみる。


『これは天使Aの召喚獣、専用の武器です』

『これは天使Aの召喚獣、専用の武器です』

『これは天使Aの召喚獣、専用の武器です』


(む? メルス専用だと。だったら最初からそう言えば良いのに)


『すみませんデス!?』


 やってはいけないことをしたと霊Bの召喚獣は認識したようだ。

 手をすぐに引っ込めてしまった。


「そうかできないか。じゃあ、エリーの目録に入れることができるか?」


(たぶんできないんだろうけど)


 100個の武器が宙に浮いているがこれでは使い勝手が悪いだろう。

 霊Bの召喚獣に当てられた目録に入れようとした。


『これは天使Aの召喚獣、専用の武器です。目録に収めることはできません』

『これは天使Aの召喚獣、専用の武器です。目録に収めることはできません』

『これは天使Aの召喚獣、専用の武器です。目録に収めることはできません』


『はわわわデス!?』


 予想通りの結果だった。

 驚かせて済すまないと霊Bの召喚獣には謝っておく。


「どうするのよ? メルスしか使えないってことじゃない」


「そうだな。今日はメルスは大地の迷宮攻略中だ。だが、このタイミングはそうなのか……」


 使えないと思っていたスキル「目録」とタイミングを合わせるように、天使Bの召喚獣は無数の武器だった。

 それは天使Aの召喚獣であるメルス専用だった。

 1つの答えをアレンは頭の中に思い描くのであった。

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