第619話 目録

 アレンは原獣の園に作られた要塞の上で、セシルとソフィーと共にいる。

 アレンは原獣の園に作られた要塞の上で、セシルとソフィーと共にいる。

 アビゲイル含めて、皆外壁の下で霊獣の解体作業と霊石の収集に勤しんでいた。


(ふふふ、とうとう1000億の信仰ポイントが貯まったからな)


 アレンの信仰ポイントで交換した霊幻の腕輪が装着されている。


・1000億ポイント 霊幻の腕輪 体力5000、魔力5000、霊力秒間3%回復、クールタイム半減


「さてさて、創生スキル上げに入りますか」


 霊力の回復速度が秒間2%から5%へと段違いに上がった。


(ふふふ、今日はあと少しで創生スキルのレベルが7になるからな! お! きたきたあああ!! きちぃああああああ!!)


 集めてもらった霊石を全て消費せんとばかりにバタバタと魔導書のページがめくれていく。


『創生スキルのスキル経験値が10億/10億になりました。創生のスキルレベルが7になりました。天使Bの召喚獣を創生できるようになりました』


「やった、やったぞ!!」


 創生のスキルレベル6からかなりの日数を要したが、無事に7まで上げることができた。


 早速、天使Bの召喚獣を分析しようと思った。


 ブンッ


 新たなログが流れたようで、読めと言わんばかりに魔導書の表紙がアレンの目の前に現れる。


『霊獣を1体倒しました。信仰値10億を取得しました。霊力1億を取得しました。神力1億を取得しました。転職ポイント10ポイントを取得しました。レベルが250になりました。体力が300上がりました。魔力が480上がりました。攻撃力が168上がりました。耐久力が168上がりました。素早さが312上がりました。知力が480上がりました。幸運が312上がりました。目録の封印が解けました』


「うわっと!? お、メルルたちが霊獣を倒してくれたのかっておお! レベルが上がったぞって、おお! 新たなスキル!!」


 アレンは大地の迷宮のメルルたちのおかげで新たなスキルを獲得できたことを知る。

 今日も必死に大地の迷宮の攻略を進めてくれているようだ。


 そこにはアレンが新たに獲得したスキル「目録」が表示されている。

 アレンは久々に新たなスキルを獲得した。


「もくろく? 一覧ってことかしら?」


 アレンの横にいたセシルが一緒になって魔導書に表示された文字を読んだ。

 目録と言えば、これから鳥人のために用意する魔導具の目録の準備が進んでいる。


(さて、一気に情報が増えたな。何だ何だ)


 アレンはログの流れが落ち着いたため、改めて魔導書で自らのステータスを確認する。


 【名 前】 アレン

 【年 齢】 16

 【職 業】 召喚士

 【レベル】 250

 【体 力】 35515+19000

 【魔 力】 56780+35000

 【霊 力】 91780

 【攻撃力】 19876+22600

 【耐久力】 19876+29400

 【素早さ】 36919+39800

 【知 力】 56790+67000

 【幸 運】 36919+8000

 【加 護】 体力超回復、魔力超回復、回避率上昇(強)、心頭滅却(状態異常無効)、飛翔、クリティカル率アップ、物理耐性(強)、ブレス無効

 【スキル】 召喚〈9〉、生成〈9〉、合成〈9〉、強化〈9〉、覚醒〈9〉、成長〈9〉、拡張〈8〉、共有、収納、高速召喚、等価交換、指揮化、王化、目録、神技発動、剣術〈5〉、投擲〈3〉

 【神 技】 創生①〈7〉

 【経験値】 約1億/無量大数


・スキルレベル

 【召 喚】 9

 【生 成】 9

 【合 成】 9

 【強 化】 9

 【覚 醒】 9

 【成 長】 9

 【創生①】 7

・スキル経験値

 【生 成】 約230億/1000億

 【合 成】 約210億/1000億

 【強 化】 約310億/1000億

 【覚 醒】 約110億/1000億

 【成 長】 約120億/1000億

 【創生①】 0/100億

・取得可能召喚獣

 【 虫 】 封ABCDEFGH

 【 獣 】 SABCDEFGH

 【 鳥 】 SABCDEFGH

 【 草 】 封ABCDEFG封

 【 石 】 封ABCDEF封封

 【 魚 】 SABCDE封封封

 【 霊 】 SABCD封封封封

 【 竜 】 封ABC封封封封封

 【天 使】 SAB封封封封封封

 【 - 】 SA封封封封封封封

・ホルダー(全90枚)

 【 虫 】 計15枚 A6、B6、G3

 【 獣 】 計1枚 S1

 【 鳥 】 計20枚 S1、A12、B2、E5

 【 草 】 計0枚

 【 石 】 計1枚 D1

 【 魚 】 計36枚 S1、A30、B1、C1、D1、E1

 【 霊 】 計6枚 S1、A5

 【 竜 】 計10枚 A10

 【天 使】 計1枚 A1

 【 - 】 

 【武 器】オリハルコンの剣:攻撃力10000、攻撃力5000

 【防具①】甲竜の鎧:耐久力8000、物理攻撃ダメージ半減

 【防具②】闇竜のマント:耐久力4000、魔法攻撃ダメージ半減

 【指輪①】霊力回復秒間1%

 【指輪②】霊力回復秒間1%

 【腕輪①】霊力回復秒間5%、体力50000、魔力50000

 【腕輪②】霊力回復秒間5%、体力50000、魔力50000

 【首飾り】魔力3000、魔力3000

 【耳飾り①】魔力2000、魔力2000

 【耳飾り②】魔力2000、魔力2000

 【腰 帯】水属性防御、魔力10000

 【足輪①】体力5000、魔力5000

 【足輪②】体力5000、魔力5000


 アレンは手に入ったスキルを1つずつ分析することにした。


(なんか色々気になるところがあるぞ。つうか、経験値が無量大数になって、ある意味、上限に達している件について。とりあえず、目録から見てみるか)


 必要経験値とは名ばかりで、この1年以上、魔神、上位魔神、亜神級の霊獣などによってレベルを上げてきた。

 単位が「兆」やら「京」やら、すごいことになってきたが、レベルが250に達し、「無量大数」というふざけた表示になった。


 メルルたちが亜神級の霊獣をこれから狩ってこれ以上レベルが上がるのか不安になる。


 アレンが新たに創生できるようになった天使Bの召喚獣より、効果が分からない目録のスキルを分析することにした。


 目録という響きがどこか、王化とか高速召喚に比べて、何だか弱そうな気がする。

 目録とは何なのか、戦いの決定打になりにくい、共有のような補助的な意味合いを感じる。


(この封印されたスキルには期待していたんだが……)


 召喚の才能のスキルレベルが9になり手に入れたスキルだった。

 一向に解除されないから、どこか魔王に勝利するための必殺のスキルだと思っていた。


 前人未踏のレベル250で手に入るスキルが「補助」スキルの意味が分からない。

 どれだけの魔神を狩って死にかけたか。

 死にかけるたびに家族の顔が何度もちらついた。

 亜神級の霊獣を狩り、神級の精霊獣とも必死に戦った。

 今も仲間たちが懸命に大地の迷宮で霊獣狩りをしてくれている。


 落胆していても始まらない。

 どんなことが出来るのか、制約はあるのか、有効に使う方法はあるのか、分析を進めることにする。


 スキルレベルがないのは、魔力や霊力を消費せず、効果が成長して変化したりしないことが、これまでのスキルの傾向だ。


「目録っと」


 とりあえず発動させてみた。

 しかし、何も起きない。

 魔力を消費していないようだし、何も変化がないので、いつものように魔導書の表紙に何かログが流れていないか確認する。


『召喚士は目録を使用できません』


 召喚士が使用するスキルではなかった。


「なるほど、強化や覚醒のように召喚獣が使用するものか。召喚獣が使用するものね」


「どうしたのよ?」


「いや、召喚獣が目録なんて使用しても何かあるのかなって、とりあえず、1体召喚獣を変更してっと。エリー出てきてくれ」


 召喚枠を変更し、サイズ的にも指示をしやすい霊Bの召喚獣を召喚した。

 霊Aの召喚獣は大地の迷宮攻略などで出払っているし、召喚枠を変更するなら最小限にしないといけない。


『アレン様、お呼びデスか?』


 10代前半の洋服を着た少女の姿をした霊Bの召喚獣が現れる。


「ああ、そうだ。新たなスキルを手に入れた。分析を手伝ってくれ。とりあえず、目録を発動されたから使ってみてくれ」


『はいデス!! 目録!!』


 霊Bの召喚獣が目録を唱えた。


「お!」


「ちょっと何よ!! なんか出てきたわ!!」


 さっきからセシルのツッコミが止まらない。

 霊Bの召喚獣の目の前には、立体的なマス目のようなものが突然目の前に現れた。


 大きさは縦横3メートルほどで、とても細かい方眼紙のようになっている。


「なるほど、召喚獣だけが利用できる目録(一覧)か。細かいな。えっと、縦横100×100の1万のマス目になっているのか」


 アレンは圧倒的に高い知力をもって、瞬時に立体的な一辺が3センチメートルしかない細かい升目の数を確認する。


「エリー、ちょっと触ってみてくれ」


(これってあれだよね。前世で当たり前のようにあった機能なんだけど)


 前世の記憶で、目録という名前ではないカタカナでよくお世話になった機能があった。


『はいデス』


 霊Bの召喚獣の方眼紙のように小さな立体的なマスが組み合わせ、面となった物を触ると、押されたのか少し後ろに下がった。


「しかし、何だかマスが小さくてパッと見、どこに何があるのか広すぎなくて見やすいが、中に入れにくいぞ。ちょっと、この天の恵みをマスに入れてみてくれ」


 アレンが霊Bの召喚獣に天の恵みを渡す。


『こうデスか? って、おお!? 目が大きくなったデス!!』


 十数センチメートルの野球ボールよりやや多きい天の恵みをマスに入れようとすると、全てのマスがニュっと大きくなり面全体が拡大する。

 霊Bの召喚獣が入れるタイミング合わせるように大きく広がったマスに、天の恵みが瞬く間に収まった。


 手を引っ込めると、マスはまた縦横3センチメートルほどになり全体的に縮小した。


 中に入っている天の恵みも一緒に縮小する。

 取ろうとすると、再度マスは巨大になり、霊Bの召喚獣は手に取ることができた。


 天の恵みはみずみずしい桃の形をしており、升目が縮小した際に、一緒に小さくなったようで潰れてはいない。


「これは完全にインベントリです。本当にありがとうございました」


「ちょっと、インベントリって何よ」


「ようは亜空間のようなところにアイテムや装備品を入れるための収納ボックスだな。召喚獣用にインベントリを追加できるようになったようだ」


 前世のゲームでは、持ち物を収納できる別枠のウインドウ表示が可能で、そこからアイテムを直接使用したり、武器や防具を持ち替えることができた。


 便利な機能だが、どうやら神界のスタッフ(主にルプト)は、アレンの知識を参考に設定を構築させたように思われる。


「丁寧に説明したぞって顔をされても困るわ。もう少し分かるように説明してほしいわね」


 この上ないくらいに分かりやすく説明したつもりなのだが、事前知識のないセシルには分からなかったようだ。

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