5月7日Ⅹ(7)

「話逸れちゃったけど、用件って?」

私が尋ねると、蘆花さんはウンウンと、頭を小刻みに縦に振る。

小動物みたいだよねこの子。

ウサギとか、モルモット系。


「その、不躾な話だとは思うのですが、先程の姉の話あったじゃないですか……」

蘆花さんは申し訳なさそうに、両の人差し指を合わせながら俯く。

「もし良ければ、荷造りを、お手伝い頂けないものでしょうか、と…。あ! あの勿論相応のお礼はさせていただきますので!」

「そう言うこと? 全然良いよ!」

私の返事に、ぱあぁと輝かせた顔で私を見つめてくる蘆花さん。

「ほ、本当ですか!?」

「うん。別に断る理由もないしね」

「ふわぁあ。尊い……」

蘆花さんは、胸を握った右手で抑えながら小さく呟く。

尊いって。

アイドルか私は。

でも踊ってあげるくらいのサービスならしてあげても良いかもしれない。

しないとは思うけど……。


「で、では。時間が惜しいですし、ついてきていただけますか?」

「うん。よろしくね」

「こちらこそ!!!」

こうして、出会って初日の女の子の家に、遊びに行くことになった私だった。

ラブコメの匂い…!?

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