5月5日Ⅹ(5)

「——ちゃん」

・・・ん?誰?

「架那ちゃん起きて!」

誰かに肩を揺すられて目を覚ますと、目の前にいたのは詩歌だった。

「詩歌、おはよ」

「おはよう架那ちゃん!」

私は欠伸をしながら詩歌に言う。


「ところで架那ちゃん、一つ聞きたいことがあるんだけど聞いても良い?」

「ん、何?」

えっとねー、と詩歌は無邪気に笑う。

「ぶっちゃけ、三和さんのことどう思ってる?」

詩歌が笑顔で尋ねてくる。

「んー、頼りになるし、綺麗だし、かっこいいし、完璧だよね」

「んぅ・・・」

私が答えると、詩歌は顔を赤らめて俯いた。

「詩歌どうした?具合でも悪い?」

私が尋ねると、詩歌はフルフルと首を勢いよく横に振る。

そして、首元に手をやると親指を左から右へスライドさせた。

「あ、あの!実は詩歌さんじゃなくて私です!愛奈です!」

途端、見た目は詩歌そのままで、声は愛奈さんになった。

「え??ん??」

ちょっと待って。理解が追いつかない。

「私が、詩歌さんに変装したので、どの程度本物とバレないのか試そうと思ってきたのですが、つい悪ノリが出てしまいまして・・・」

詩歌、もとい愛奈さんは頰を赤らめながら細々と言う。

なるほど。

つい楽しくなっちゃったってやつか。

「すごいね、全くわかんなかったよ」

「申し訳ありません!」

私が称賛すると、愛奈さんは勢いよく頭を下げて謝罪した。

「気にしてないから全然大丈夫だよ」

別に、直接聞いてくれても良かったのに。

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