5月5日Ⅹ(6)


今の時刻は昼の1時。

今から浜松へ車で向かい、そのまま慎之介さんの家へ向かう手筈となっている。

愛奈さんに扮した詩歌と汀さんは昼頃に、既に出発していた。


「では向かいましょうか」

「うん」

詩歌の格好をした愛奈さんが私に告げる。

「では行ってまいります」

「行ってらっしゃいませ」

愛奈さんは、別荘に残る佐藤さんに留守を任せ、私たちは歩いて熱海駅まで向かった。


2時間程で私たちは、JR浜松駅に着いた。

「父の元へ向かうまで、暫し時間がありますので、少し市内観光でもしますか?」

「うん、どこか良いとこある?」

愛奈さんは何か昔の記憶を思い出したのか、笑顔で言う。

「でしたら浜名湖に向かいましょうか。久しぶりにボートで湖を周りたいものです」

「じゃあそうしよっか」

「はい!」

こうして、私たちは2時間ほど浜名湖で時間を潰すことになった。

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