5月5日Ⅹ(2)
「師範、私に合気道の稽古をつけてください」
「それは良いが、何故だ?」
部屋を出た私は、リビングのソファで私たちの話し合いが終わるのを待っていた師範のもとへ向かった。
「架那ちゃんからのお達しです。受け流しの技術として合気道もやっておけって」
「楠木様がか。確かに対複数人乱闘だったらやっておいて損はないな」
師範はウンウンと頷いている。
「ちなみに、私から言っておいて何なのですが、柔道とは何が違うんですか?」
おいおい、と師範は苦笑する。
「本当に楠木様の言葉は疑わないんだな。まあ良いことだとは思うが。
合気道と柔道との違いは、自分への攻撃のベクトルを別ベクトルに流すとこだな。受け身の攻撃なのも特徴的だ」
「なるほど」
受け身の攻撃と。
「つまるところ、相手の攻撃を利用して技をかけるから、こちらの体力の消耗が少なく確実に無力化できるところが一番の差異だ。柔道の投げ技は強いが、一々モーションがデカくてかなり疲れてしまうからな」
「確かにそれは感じます」
「違いとしては、そう言うところだろ」
師範は丁寧に私に説明してくれた。
「そうと決まれば今からやるぞ。ついてこい」
師範は颯爽と私をおいて歩き出した。
「はい!」
私は大きく返事をすると、駆け足で師範の後を追った。
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