5月5日Ⅸθ(2)

「単刀直入に伺いますが、どういったことを架那さんに話されるおつもりですか?

ループ内容について話したら、ルールに抵触して詩歌さんが死んでしまうんですよ?」

三和さんは私に不安そうに尋ねる。

「それを逆手に取ろうと思う」

「なっ」

三和さんは驚愕の表情を浮かべて固まった。

「頭いい架那ちゃんに話をして、作戦作ってもらえたら絶対勝てると思わない?」

「ですが、詩歌さんが…」

「いいんだよそんくらい」

三和さんは戸惑いの表情を浮かべる。

「嘘嘘。正直な話、これから先もしかしたらループできても数回かもしれない」

「…どういうことですか?」

「前々回のループの時に、ループ後に少し頭痛がして、何かよくわからない圧迫感に襲われたんだよね。まあ、それほど重要でもなかったから無視してはいたんだけど」

三和さんは続きを促す。

「さっきループしてきた時に、すごい立ち眩みと、頭上から何かがゆっくり降下してきてるような感覚に襲われた。今も正直頭痛がやばい」

「もしかしてその立ち眩みが過度のループによる弊害で、圧迫感というのはループの限度回数のイメージでしょうか?」

「私も同じように考えた。多分そうだと思う」

飲み込みの早い三和さんは、私よりもことの重要さが理解できたような表情で思案している。

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