5月5日Ⅶψ(21)

「いくぞ神坂」

「はい!」

女子会場を後にした私たちを、エントランスで待っていたのは1台のヘリでした。

汀さんと詩歌さんが走ってヘリへと飛び乗ります。

私が四咲さんに帰る旨を伝えている間に汀が業者を手配してくれていたようです。

おそらくいつも通り運転は汀がするのでしょう。

本当に彼女はなんでもできて羨ましいです。

「愛奈様も早く!」

「今行きます!」

こんな悠長にしていたらいけませんね。

急がなければ。


「では飛ばしますよ!」

私が急いでヘリに乗り込むと、汀は運転席から私たちに声をかけました。

次の瞬間ヘリは急上昇すると、太平洋へ向けて一直線に飛び立ちました。


「おそらくあと20分で船の頭上に到着しますので、愛奈様と神坂はそこにあるパラシュートで緊急降下してください。そこですぐさま楠木様の捜索をお願いします」

「「了解です」」

汀の指示に私たちはお互いの顔を見合って大きく頷きました。

詩歌さんの目には強い意志が宿っているように感じました。

「では暫しの飛行にお付き合いください」

汀は作戦内容を告げると真っ直ぐに操縦席に向き直りました。


架那さん、無事でいてくださいね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る