5月5日Ⅶθ(4)

「なるほど。よくわかりました。

 ひとまず愛奈様、今回は私のせいで申し訳ありませんでした」

「いえ、そんな汀は何も悪くありません」

「それに神坂。お前にも辛い思いをさせただろう。すまなかった」

「いえ、師範は何も悪くないです」

師範が労いの言葉を三和さんと私にかけてくれる。

こんな何気ない会話一つ一つが温かい。


「ときに汀。貴女はこの状況を打開するには何をすべきだと思いますか」

三和さんが師範本人に尋ねる。

「そうですね、まず第一に相手方の人が多かったのでしょう。それが大きな敗因であると思います」

「では、対策としては?」

「佐藤を楠木様の護衛に回し、神坂も連れて行くのがベストではないかと」

「私は構いません。寧ろ行かせてください!」

まさか自分が指名されるとは思ってもいなかったが、師範の役に立てるのならば本望だ。

「詩歌さんが良いのであれば、是非お力をお貸ししていただきましょう」

三和さんは嬉しそうに言う。

「ただ架那ちゃんの護衛は佐藤さんで大丈夫なんですか?」

「正直心元ない」

「じゃあ、他の人は」

「愛奈様の側近は余り戦闘向きなものがいないのだ。他に頼むとなると完全に外部の組織に委託することになるが、信用性に欠ける」

なるほど。

それはもっともだ。

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