5月5日Ⅶθ(3)

「あの日、昼頃に河津町の女子会場には四咲グループの会社の従業員たちが200人ほど三和家に抗議活動をしに集まっていました。それが今回の敗因でした」

「じゃあ師範は抗議の集団にやられたってこと?」

私は三和さんに当時の状況を尋ねる。

「いえ、直接的にはそうではありません。女子会が終わりに差し掛かった17時頃、それまでは会場の周辺にいただけの集団が突然会場内に押しかけてきたのです。それと同時に館内はブラックアウト。四咲未来は姿を消しました」

「それで?」

「私と汀は脱出を試みたのですが、その途中頭上から例の暗殺者に襲われました。敵が暗殺者一人だったら汀ならすぐ勝負は決しました。しかしその場には大勢の暴徒化した抗議の集団がいたのです」

そうか。

師範は200人の暴徒を殺さずに対処しながら、人混みに隠れながら闘う殺しのプロを一人で相手取っていたのか。

「200人を殺さず無力化、暗殺者の始末、私の護衛。汀はこの三つを全て一人でこなしていました。しかし結果は失敗に終わり汀は暗殺者にやられてしまいました。これがことの顛末の一部始終です」

三和さんはここで情報報告を終えた。

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