5月5日Ⅵψ(15)
どうしてこんなことになってしまったのでしょう。
詩歌さんとの通話を終えて、私はずっと自分に問いかけていました。
どうして。
どうして汀を死なせてしまったのか。
私は守れなかったのか。
お二人には何て伝えればいいのか。
答えのない問いかけが永遠に浮かんできます。
そんな不甲斐ない自分に涙が溢れてきます。
しばらくしてお父様から電話がかかってきました。
お父様は、優しくこちらの状況を私に尋ねました。
汀を死なせてしまった、と。
私はそれだけしか言えませんでした。
私の不甲斐なさを責めるのではなく、慰めの言葉をかけるのもなく。
お父様は、そうか、とだけ言って電話を切りました。
その一言はとても優しいものですっと私の体の中に溶け込んできたような気がしました。
するとそれと同時に汀がいないという事実にも再度襲われ、私は流れ出る涙を止めることができませんでした。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい汀桜子。
私は貴女を死なせてしまった。
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