5月4日Ⅵ(20)

「架那ちゃん長かったけど、誰かに絡まれたりしなかった?」

戻っていくと、詩歌に心配して質問された。

「二階堂さんと話はしたけど絡まれたりはしてないよ」

「さらちぃですか。悪い人ではないと思うんですけど、底が見えない感じが苦手なんですよね」

愛奈さんは苦笑いと共に言う。


「では本当に戻りましょうか」

汀さんが先頭を歩いて、私たちは晩餐会会場を後にした。


「今日は無事何もなく終わってよかったですね」

リムジンに戻ると愛奈さんがため息と共に言う。

「そうだねぇ。ご飯は美味しかったしねぇ」

詩歌はお腹をさすりながら満足げな顔で呟く。


「別荘に戻りましたら、今後の予定をお話ししていきましょうか」

「了解です」

「はーい」

愛奈さんの提案に私と詩歌が同時に返事をする。


「2時間程度で着きますので、それまでごゆっくりしていてください」

運転手さんはそう告げて、ゆっくりとリムジンを加速させた。

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