5月4日Ⅵ(18)

「君がカンフルちゃん??近くで見る本物はかわいいねぇ。むふ」

食事をとりに席を立つと、二階堂さんに声をかけられた。

「いえ、そんな二階堂さんこそ」

「さらちぃで良いよ。私貴女のこと気に入ってるからそう呼んで欲しいなぁ」

二階堂さんも結構グイグイくるタイプのようだ。

「私のこと知ってるんですか?」

「そりゃぁ、同年代で天才の女の子がいれば気になりもするよぉ」

「なるほど」

愛奈さんと同じで研究発表を見てくれていたのだろうか。

「さっきは早速未来ちゃんに絡まれて災難だったねぇ。

もし今後助けが欲しかったらこのさらちぃのとこまでおいで。

カンフルちゃんなら報酬なしで助けてあげるからさぁ」

二階堂さんはひらひらと手を振りながら私の元をさっていった。

よくわからない人だったな。


「んー、この蟹美味しい!」

席へ戻ると詩歌が蟹料理に舌鼓を打っていた。

「三和さんこれ食べないならもらうねー」

「あ。まあまだあるので良いですけど」

食べ足りなかった詩歌が愛奈さんの皿から蟹を強奪する。

愛奈さんは苦笑いでそれを許している。

「神坂、それは行儀がなってないからやめろ。みっともない」

「はーいすみませーん」

「おい聞いてるのか!」

次々口の中に料理を放り込んでいく詩歌の姿が目についた汀さんが注意するも詩歌は料理に夢中で聞く耳を持たない。


「あ、架那ちゃん!これ美味しいから食べてみ!」

私の姿を目に止めた詩歌が手招きで呼ぶ。

「はいはい、今行くから」

もう、せっかちだなぁ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る