5月4日Ⅵ(15)

一条家の右後ろの位置にいるのが例の四咲家。

浴衣と独特な訛りから京都だろうと推測できる。

葵模様の浴衣に身を包んだ女性が当主候補だろうか。

年は私たちと同じかそれより若そうに見える。


最後に、三和家の左後ろにいるのが五十嵐家。

あの訛りは九州かな?と思われる。

黒いスーツにピシッと身を包んだ眼鏡の男性が次期当主候補だろう。

年は私たちより5つほど上に見える。

おそらくもう成人しているだろう。


以上私の特技人間観察から読み取れる情報全てだ。

「そろそろ会が始まりそうです」

佐藤さんと共に席へ来た汀さんが時計を見ながら言う。

「最初に当主候補同士の挨拶があると思われます」

愛奈さんは汀さんに黙ってうなずくと、静かに真っ直ぐ前を向いた。


「皆様本日はご足労願いましてありがとうございます。

 本日司会進行は私黒崎が務めさせていただきます」

間も無くして、華やかなドレスに身を包んだ女性が壇上へ上がると、挨拶を始めた。

黒崎さんって、あの人朝の情報番組のMCやってる人じゃん。

初めて本物みた。すご。

「ではまず私の方から皆様の簡単なご紹介をさせていただきますので、一言いただけましたら嬉しいです」

こうして晩餐会が幕を開いた。

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