5月4日Ⅵ(8)

「ただまー」

「今戻りました」

愛奈さんと一緒に別荘へと戻った私たち。

なんか同棲カップルのデート帰りみたい。

「あれ、なんか床濡れてる…?」

「そうですね…。

 恐らく裏山にある滝に滝行に行ったのではないでしょうか?」

「その心は?」

「水滴が玄関の外から家の中、浴室を経由して2階まで続いていますよね。

 それに、浴室前を見てください。タオルが投げ捨てられています」

おお、本当だ。

鋭い観察眼だ。

「よってここから導き出される答えは一つ!

滝行終わりに帰ってきてシャワーを浴びた後、2階へ向かったと考えるべきでしょう!」

「じゃあ、答え合わせに2階にいこっか」


「合ってたね」

「はい」

愛奈さんの予想通り、2階のリビングで詩歌と汀さんが爆睡していた。

詩歌はタオルケットを羽織っているのだが、はだけた足には青あざがいくつか見える。

きっとこれが詩歌の努力のあとなのだろう。

「静かにしておきますか」

「そうしよ」

私は買ってきたプリンを部屋の中央に置いてある机の上にそっと置くと、愛奈さんと静かに部屋を後にした。

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