5月2日Ⅵθ(3)
あれやこれやとしている内に、いやまだ何もしてないか。
汀さんに連れてこられたのは家からさほどは離れていない住宅街にある剣道場だった。
「汀道場、って汀さんが経営してるんですか?」
「建てたのは私の親だ。今は両方いないがな」
汀さんは感慨深そうに言う。
「そんなこと言ってないでいいから入れ。とっとと始めるぞ」
「押忍」
昔からの癖で道場に入る際はどうしても押忍と言ってしまう。
武道家あるあるらしいが。
私は道場に入ると汀さんから手渡された胴着を着る。
「あれ?剣道着じゃないんですか?」
汀さんから手渡されたのは空手の胴着だった。
「空手着の着方くらいわかるだろ?」
あ、いや、そう言うことじゃなくてですね。
汀さんは変なところで抜けているらしい。
「ああそう言うことか。
これからお前には空手、柔道をマスターしてもらう。今日、明日は空手だ」
「え、剣道はやらないんですか?」
「実戦で剣を落としたら何で戦うんだ」
バカを見るような目で私を見てくる。
「剣道バカで終わってもいいのか?」
「いやです」
「ならさっさと着替えろ。始めるぞ」
汀さんはライダースーツを脱いで空手着に着替え始めた。
改めて見ると汀さんすごい綺麗だな。
170センチはありそうな背に、胸元まで伸びた綺麗な黒髪。
胸もDはあるのではないだろうか。
かっこいいなぁ。
「着替えるだけだろ、早くしろ」
「はーい」
怒られてしまう。急いで着替えなければ。
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