4月30日Ⅴθ(1)

今は4月30日の朝5時。

戻ってきた。

はは。なんだ。

やっぱりループの発動条件は私の死だったんじゃん。

ならもう大丈夫。

もう架那ちゃんがいなくなることなんてない。

何度でもやり直せるんだから。

私が死ねば。



「ねね、架那ちゃん。

 今日数学はじめての週テストだよね。緊張するなぁ〜」

朝いつものように駅で合流して、学校へ歩いていく途中、前回架那ちゃんに言った事と同じことを繰り返す。

「ああ、そういえばそうだっけね。数と式と二次関数の始めか」

「架那ちゃん余裕ですか??さすが主席ですねぇ」

私は笑いながら架那ちゃんの脇腹を指で突く。

「もう。そんなんじゃないってば」

架那ちゃんは笑って言い返してくる。

「よぉしがんばるぞぉ!」

私は前回同様、勢いよく学校に向かって走り出す。

「もう、走らないでってばぁ!」

架那ちゃんは急いで私の後を追って走ってくる。

「はやくはやく!」

少し進んだところで跳ねながら架那ちゃんに大きく手を振る。

「今行くってば!」

架那ちゃんは私に返事をして小走りで走ってくる。


今回は架那ちゃんから絶対離れない。

絶対架那ちゃんは私が助けるから。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る