4月15日Ⅳ(14)
「じゃあ、そろそろ帰る?」
あのあと結局、色々なお店につれていかれ、気がつけばあたりはすでに暗くなっていた。
「そうね。じゃあちょっと電話するから待ってて」
「あ、うん。お家の人心配させちゃ悪いもんね」
うむ。
うちは門限等について細かいから。
「うん、じゃあ帰ろ」
「うん!」
親に電話をし終えると、二人でJRの駅に向かって歩いて行った。
「あれ、事故かな?」
商店街を抜けて、太い道へ出ると、詩歌が道路の先を指差してそう言った。
「いやぁ、怖いね詩歌ちゃ-」
車の下に血の海ができている。
私は其の光景を見にした瞬間、多量の冷や汗をかいた。
なんでだろう。
まるで詩歌がいなくなってしまうかのような気がしてならない。
そんなことないのに。
「-ちゃん、架那ちゃん!」
と、不意に私の名前が呼ばれたかと思うと、詩歌が私を不安げな表情で見つめていた。
「大丈夫?」
「うん、大丈夫。ありがと」
不安げな詩歌に返事をする。
「もう二度と間違えないから…」
詩歌は小さな声で呟くと、笑顔で私を優しく慰めてくれた。
「ありがと」
「どういたしまして」
しばらくして落ち着いた私が彼女にお礼を言うと、いつものような眩しい笑顔で詩歌は笑った。
詩歌がいなくなることなんてないのにね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます