4月15日(5)

「おはよう!」

今日も朝、駅のホームで落ち合う。

彼女は元気に手を振って私の元へ走ってくる。

茶色がかった癖毛のある短い髪を揺らしながら走ってくる姿は、まるで子犬みたいだった。

それに比べて私なんて地味な短い黒髪に細いだけの体型。

はあ。

「どうしたの?朝からため息なんてついて」

おっと。声に出てしまっていたのか。

「ううん、神坂さんは可愛いなって」

初めて人に可愛いなんて言った気がする。

「ほんと!?嬉しい!

 でも架那ちゃんもクールビューティーですごい綺麗だよ!」

彼女は無邪気に笑う。

「あ、ありがとう」

「どういたしまして!」

彼女は本当に屈託なく笑う。

見ていて清々しい気持ちになるほどだ。


「じゃあ行こっか」

「うん」

そうして私たちは駅から出ると、S高に向かって歩き始めた。


神坂さんを疑うような真似するのは気がひけるなぁ・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る