4月15日(3)

そのことを彼女に尋ねてみると、彼女は瞬きをした後、申し訳なさそうな顔をした。

「これ私のいつも頼むお決まりのやつなんだけど、嫌だった?」

そう言ってきた。

ただの偶然なのか。

うーむ。

気にしすぎか。

「そうなんだ、私も毎回同じこれ頼むんだ。奇遇だね」

「そうなんだ!気が合うね私たち!」

私の返答を聞いて彼女は笑った。

ただ単に気が合っただけだろう。うん。


その後、特に何事もなく遊んでいたのだが、帰り際にまたおかしなことがあった。

18時を回るというときに、私は彼女に家に電話するねと言った。

「ああ、おばあちゃん心配させちゃ悪いもんね」

彼女はそう返答した。

ちょっとここで私は考えた。

「家の人心配させちゃ悪いもんね」とか、「お父(母)さん心配させちゃ悪いもんね」

と言ってくるなら何も変ではない。普通のことだろう。

ただ、なぜおばあちゃん?

彼女が両親を亡くし、祖父母に育てられたおばあちゃんっ娘で、私もつい同じ扱いをしてしまった、なら考えられる。

そこで私は、探りを入れるつもりで、こう聞いた。

「神坂さんは、おばあちゃんっ娘?」

神坂さんは、ううんと言って首を横に振ってなんで?と尋ねてきた。

「ううんなんでもない」

私がそういうと、彼女はまたいつもの笑顔に戻った。

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