第73話 情報、脅迫
あのときは結局、僕は霧化して殺し屋さんを連れて逃げた。
お姉さまと瑠奈は、天井を逆さに走って逃げたと聞いた。
「これはもう完全にしてやられてたから、殺し屋さんは殺されるわ、私たちは皆殺しにされるわで、彼らはきれいに犯行現場から姿を消して迷宮入り謎事件が完成するところだった。
ところが、私たちは誰も死ななかったし、ヨシフミにいたっては古い暗殺組織の日本支部を突き止めて偵察までしてのけた
ま、ヨシフミはよくやったわ」
お姉さまが褒めてくれるだなんて、ひょっとしなくても、マジヤバだったのかな。
なんか、僕、濃い顔のおしっこ漏らしたおじさんに抱きつきたくなくて、しみじみと落ち込んでいたけど、そんなレベルの話じゃなかったのかも。
「ヨシフミに合流した私は、この暗殺組織の情報を、互助結社組織に報告という形で流した。莫大な資産を持っているっておまけ込みでね。
同時に、どことはいえないけど日本の某組織を通じて、古い暗殺組織の残党にも情報を流した。
この目的は、それぞれに喰い合いをさせて共倒れを狙うことと、私たちが漁夫の利を得ることよ。
そして、私は横須賀海軍施設に話を通すことで、もう3つの目的を達成した」
「邪魔をされないバトル・フィールドの確保と……。
もう1つは捕らえた敵の身柄引き渡しと、最後の1つは……」
わかんないな、なんだろう。
「武器弾薬、薬品類の現金化よ。
7割がた寄付しちゃったけど、まぁ、残りだけでも2000万くらいにはなったわ」
「えっ、じゃあ、僕と瑠奈で1000万ずつ貰っちゃったら、お姉さまは赤字なんですか?」
「そんなわけないでしょ。
私は、2億近くは儲けたわよ」
「……そのお金は、どっから湧いて出たんですか?」
現金の湧く泉があるのなら、ぜひ教えて欲しい。
あ、金のなる木でもいいな。
「簡単なことよ。
互助結社組織に情報を流したあと、しっかりと経過観察をさせてもらったのよ。
反社と傭兵部隊に雉島襲撃を依頼したの、しっかり録音したしね。関連したメールなんかもみんな電子署名付きのを確保した。
その上で交渉したの。
私たちを陥れようとしたオトシマエと、反社との繋がりをばらされてもいいのかってことと、最終的にすべてを手に入れた横須賀海軍施設に全部バラしていいのかってことと、そのあたりで1億とその半分くらいは出させたわよ。
出さなきゃ、報復として「あんたらの組織はテロ組織に認定されて叩き潰される」と言ってね。組織の上層部個人の依頼の会話記録も残っていたから、そりゃあ素直だったわ。
そもそも秘密結社組織間の伝統とかの序列で、私たちより下にいるくせに生意気なのよ」
ああ、そうか。
罠に落とし込んだのか。
でもって、米軍って怖いんだ。
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