魔王転生〜魔王が転生したら中学生だった件〜

ルブブ

第1話

魔王転生~魔王が転生したら中学生だった件~


「とうとう来たか勇者リアル・アドラ」


俺は魔王。数いる魔族の長であり、この世界の2トップとも言える存在だ。そして今相対している勇者アドラこそが2トップの内のもう一人。魔族と人間は対立しており4000年にわたって争いが続いていた。

だがその因果関係もこの日をもって終わろうとしていた。


「やあ魔王シーマ。今日やっと君を、君たち魔族を根絶やしにする日が来たことに感激だよ」


と勇者が鞘から聖剣を抜き取り剣先を玉座に座る俺に言った。

たかだか人間風情が忌まわしい。空気が汚れるぞ。と俺は考えながら口を開く。


「それはお前にも言えることだぞ?勇者アドラ。汚らわしい人間風情には今すぐこの世から立ち去ってもらわなければ」


と俺は玉座に座りながら右手を前に出し魔法陣を空中に光らせる。


「終わりだ勇者アドラ」


「そうだね、終わりにしよう」


俺は勇者にむかって闇属性の魔法を放った。その時だった。


「カハッッ。どう言うことだ。勇者アドラ」


俺は玉座の後ろからいきなり剣で刺され、後ろにいる勇者に向かって言った。


「フッ。簡単なことだよ。ちょっとした幻影魔法の応用だ。その程度もわからないから君は負けた。まぁそのおかげで人間たちの生活は今より一層良くなることだろうけど」


と俺を玉座の後ろから刺しながら笑みをこぼして勇者が言った。


「さよなら魔王シーマ」


勇者は剣を引き抜き血が滴る剣先をあげて言った。


『グジュッッ』


嫌な肉が切られる音と共に俺の首から鮮血が飛び散り一瞬の激痛と共に俺の一生は幕を閉じた。


【はずだった】






「どこだ。ここは、、、」


俺は死んだはずなのにまだ意識がはっきりとあった。周りには暗い空間が延々と続いているようで薄気味悪い。


「フォンッ」


と、3メートルくらい上空に薄暗い紫色の光が現れ、一気にその光は大きくなり俺を飲み込んで行った。




「どう言うことだ」


俺は死んだはずなのに気づいたらあの暗い空間から今度は光に満ちている世界にいた。

部屋にいるのは[人][人][人]。無数の汚らわしい人間たちが座っていた。

静かに皆が紙に文字を書いていた事からここは学校だろう。だがなぜ俺は学校にいる?俺は周りを見渡しながら現状を確認した。


「なのでこの式は、、、、、、」


女の大人が前で何かの授業をしていた。

だが明らかに前までにの人族の学校ではない。なぜなら、以前の人族の学校にはこのような天井についたガラスで包まれた明るい炎?のようなものはなかった。

俺は自分の手を見て気づいた。この手、

どうやら俺は勇者アドラに殺されて、人族に、しかも前世とは違う世界に転生したようだ。

その時だった。頭の中で高い声が響いた。



《スキル制限がかかりました。

スキル全智以外のスキルが使用不可となりました。

レベルがゼロとなりました。》


は?どう言う事だ?。スキル使用不可、、、、戦闘能力無しの全智しか使えないないなんて、、、、。いや、よく考えればこの土地勘も何も無いところで全智は役に立つか。前世では戦闘に使えないクソスキルと思って使ってなかったのだがここにきてスキルレベルを上げてなかったことを後悔するとは。

俺は周りに聞こえないくらいの小さな声で全智のスキルを発動させた。


「全智、なぜスキルが使えない?」


そう言うと再び頭の中で声が響いた。




《個体名魔王シーマが個体名勇者アドラに刺殺され、その時、体に残っていた魔力により新しく体が構築されました。

ですが個体名魔王シーマが転生した世界線Gは転生前の世界線Aから引き継げるスキルは制限されたことにより、使用できるスキルは全智のみです。》



つまりは俺は奴に殺されたせいでこの違う世界線に転生したと言う事か。

だがなぜ人族なんだ。まだ他の生物の方がましだ。


「矢風さん、、、矢風さん、、、?」


だがなぜ違う世界線に転生したのだろう。魔力が足りなかったからか?。なんにせよ調べる必要があるな。


「矢風!?」


と耳元で大きな声が響いた瞬間本が頭にぶつかる。

痛ッテー。俺は教師に叩かれた頭を押さえて言った。


「おい、人間風情が、、、。俺に向かって何をする。殺すぞ」


俺はこの瞬間後悔をした。あぁ言わなければよかったな、、、、と。


「おい?人間風情が?殺す?。次言ったらどうなるか、、、。わ、か、る、?」


怒り。そんな甘ぬるいものでは決してなかった。そうこれは凄まじい【殺意】そのものだった。

教師が前を向いて歩き、一度振り向いて言った。


「後で生徒指導室、、、ね?」


その時気づいた。今の俺は前世のような魔法もスキルも無くこの世界の知識もない。故に俺はこの世界の中で適応できないザコということになる。

俺は怖気付きながら「は、はい。すみませんでした」と反射的に言ってしまった。

教師が元の位置に戻ると共に教室の中でクスクスと笑い声が響いた。


「はぁーーー。なんでこうなったんだ」


俺は机にうつ伏せになってため息を吐いた。

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