能力

宿屋に戻るなりやった事はアペルの能力の確認。装飾化はローブみたいだけど見た目は真っ暗で縁に不思議な金の模様もあって、内側がアペルの綺麗な黒で高級感もあり触り心地もすべすべだった。無限収納は宿屋にあるのを全て収納出来るぐらいで、アペル曰く言葉通り無限に収納出来るし時間停止機能もあるから食べ物でも何でもいけるらしい。後錬金は面白かった!ハティルの毛とか使って氷の剣、なんか作れたりして他にも素材があれば色々作れそうな感じ。形態硬質変換は姿を変える感じで、スライムらしい能力だよね。どんな形にもなれて固さも変えられるみたい。吸収に関しては分からなくて、多分戦闘になれば分かりそう。そんな感じで色々確認してたから寝るのも遅くなっちゃった。眠たさに逆らえず無意識に出た欠伸。


「でっけぇ欠伸。女としてないな!」


私を指差し笑うロデー。


「あれだろ、冒険者になった高揚感から寝れなかった感じだろ。ライフと一緒じゃん!俺は寝れたけど。」

「金目当てでなった冒険者なら高揚感も感じない夢の無い男だもんね。ぐうすか寝れるのも妥当だよ。」


見当違いでありながら馬鹿にされてる今、倍返してやってやる私!それの何がいけないの?金目当ての男よりはそっちの方がいいもんね!


「冒険者なんて俺と同じ奴ら五万といるわ!」

「ロデーは冒険者よりも盗賊の方があってる。」 

「賞金首になる気はないし!」


外方を向きながらもぐもぐと食べるロデーに、変な所は冒険者らしい。見た感じも本当に盗賊の方があってるのに、それに皆微かに頷き笑っててロデー苛ついていた。床でカリカリと私の膝を傷付かない程度で引っ掻いて来るハティルの行動に不思議がるルフィが問いかけてきた。


「今日ハティル変?不機嫌?」


よくお分かりで、朝からすっごく不満げなんですよ。マズルに皺寄せて怒る始末です。


《何故貴様がそんな所に隠れなければいけないのだ!主の身体なのだぞ。貴様も恥を知れ恥を!》


それでずっと膝を集中的に攻撃してて


「まぁちょっとね。」


苦笑い気味な私も仕方無い。服が無くて今着てる白いワンピースもノースリーブで隠れれる場所がここだけなんだもん。今ガーターリング的な感じに変形しているアペルです。私的には子供姿だし、アペルスライムだし恥ずかしさとかもないんだけど、ここに隠れるってなった時にハティルだけが猛反対だった。


《いいじゃんこのぐら~い。僕だけお留守番とか絶対嫌だからね!》


アペルは子供っぽいしね、甘えられると可愛いんだよね。


《ちなみに僕無性だし、恥ずかしいとか感じないからね~。ハティルは雄だもん!ちん◯んなんてハティルにとっては恥ずかしくて出来ないんだ。僕無性だから無いけど全然出来るよ。》

《我は犬ではない!》

《主にやってって言われたら?》

《ウグッ…》

《ほらほら~出来ないんだ~》


聞こえるの私だけだからね。子供っぽいアペルがハティルに勝ってるよ。


「依頼とかすればすぐ機嫌良くなるよ。」


とルフィに言い、嘘はついてないよ。依頼して外に出て終えばアペルをスライムに戻せるしね。


《主、早く依頼受けましょう!》


こんな感じ急かされている私でした。


「ハティルは朝御飯食べないのですか?」

「うん、元々食べれなくても生きていけるみたいで、空気中の魔素がご飯的な感じらしいです。」


ハティルもアペルもご飯食べなくて生きていけるのは良いよね。食費掛からなくていいしなんてクレイブさんと話してると、「はぁぁ!?」と大声を上げ机を叩く音に驚き皆が注目した。


「昨日あんだけ食べやがって、食べなくても生きていけるだぁ!?てめぇ、俺の金返せや!」


ブチギレなロデー。


「あの時は私も知らなかったしね。」

「教えとけよ!」


そう拳を握り締めて睨むロデーを横目で見て鼻で笑うハティルだった。


「ロデはハティルに見下されてるから仕方無い。」

「実際俺らハティルよりも弱いからしょうがないだろ。」

「でも俺とお前らで態度違うだろ!」

「自業自得ではないでしょうか?魔物使いテイマーであるセシリィへの態度を見返さなければハティルは変わりませんよ。」


変えたくないと嫌そうなのが顔に出てるよ。変わらないなと溜め息を吐く三人。それはそれでハティルにやられるだけだから私的には良くって、手を合わせて「頂きます。」と「ご馳走さまでした。」は、皆昨日から不思議がってたみたいで意味か教えれば良い言葉だと一緒にしてくれた。こんな毎日の方が凄く充実感があって楽しく感じるなと私だけ笑っていた。


《主、早く依頼受けに行きましょう!》


尻尾を立たせて急かすハティルにはいはいと宝狼メンバーと別れて冒険者ギルドへと向かった。ライフ達は別の用件があるみたいでギルドに行かないみたいだったから。別れる時にロデーが


「冒険者成り立ての初心者は浮かれる奴等が多いんだよ。お前も浮き足立てて失敗したりすんなよ。」


珍しげにそんな注意事なんて言ってくるから


「失敗したんだ。」


と笑って言えば


「ばーか、俺はしてねぇよ!お前の事だから大丈夫だろうけどな。」


そう手を振ってロデーはどっか行っちゃった。意地悪な所からの少し優しくされたりしたら惚れる、何て良く言うけれど、ロデーもなかなかモテてるのかもね。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る