東欧から極東へ

古川拓

第一話_印象

この街について1日が経った。朝起きてカーテンを開き見えた世界は昨日と同じどんよりとした掃き溜めのような街。この街でとりあえず半年過ごすというのが信じられないほど、僕はこの街がすでに嫌いだ。


ギャップはすごいし、ジロジロ見られてアジア人の自覚芽生えるし、食べ物はなんか全部味っけないし、雲はどんよりしてるし、風は乾いてるし、白髪は増えるし、物乞いはしつこくてうざいし、とにかく目に映るほとんどすべての物が新鮮でかつ全てに直接的な嫌悪感を抱ける。


この街には、野良猫がいない。代わりに野良犬がいる。

この街には、カラスがいない。代わりに鳩の大群が住み着いている。


コンクリートは白色、空は灰色、人々の肌の色は白、白、白。


いま、ホテルのロビーにある一人がけのソファに座って窓越しに見える歩くブルガリアンをみて一つ思う。


「あー、タバコ吸おう」

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