第92話 月猫、鬼嫁になる。その③
術後、親戚と義父が入院セットを用意して来てくれました。
大体は、アメニティセットで必要な物を頼んだのですが、急な入院だと下着とか着替えとか持って行ってないですから、すったもんだです。
義母の病棟に向かって、姪っ子さんと私と義父と三人で歩いたのですが、義父が二回ほど転びそうになりました。
そうです、足が上がらずすり足になっています。転倒のリスクが高くなっていました。
お昼ご飯を一緒に食べた後も転びそうになって、ヒヤッとしました。
疲労からそうなったかもしれませんが、猛暑で散歩が出来ず、家の中でじっとしているので足腰が弱ってきている可能性もあります。
そんな感じでしたので、義父母の危険を察知した月猫は、13日、夫の実家にデジタル式の温湿計を持って行きました。エアコン設置を拒否する義父を説得するためです。
実家には、水銀の温湿計はあります。でも、それではピンと来ないと思い、わざとデジタルを用意して
「これを見て下さい! 部屋の中は33℃ありますよ。これじゃ、傷口も治らないです。内臓機能も低下します! 28℃以下にしないと‼」
と、33℃では傷口治らないとか内臓機能低下とか大嘘をつきました。
(この際、嘘も方便です)
そして、車で20分の電気屋さんに息子と行きエアコンを注文。
店員さんに電気は30アンペアですか? とか、ここに屋根が出ていますか? とか聞かれても答えることができません。私と息子は実家に戻り再度確認。必要と思われる個所をスマホ撮影。
そして、また電気屋さんへ。
はい、エアコンを注文するのに二往復致しました。
それから
「今度からは、お義母さんが救急車呼ばないでって言っても救急車を呼んで下さい! 『嫁に怒られるから救急車呼ぶ』って言って下さい!」
と義父を注意。
後日、義母にも
「帰り、親戚の方大変そうでしたよ。今度からは、救急車呼んで下さい」
と注意。
弱って気落ちしている義母に、そんなことを言うのは酷だと思いましたが。
ふっ……
こうして月猫は鬼嫁となり、高齢の義父母にお灸をすえたのでした。
完
付録。
ここで、梅ちゃん情報。
今回の一件は、梅ちゃんに電話で連絡済みです。
すると、私のことが気になるのか夕べ電話をくれました。
そこで、流石の梅ちゃん語録紹介です。
「今年の夏だば暑くて、年寄り死んでるなぁ。地球がおかしくなってるんだ! それでな、おらの頭もおかしくなってるぞ!」
おーい、梅ちゃんの頭がおかしいのは、前からだよー (心のツッコミ)
「昨日よ、熱中症にならねぇように、ヤクルト飲んで、飲むヨーグルト飲んで、リポビタンデー飲んで、アイスコーヒー飲んで。したらよ、しゃーしゃー💩が出てびっくりしたよー。漏らさなくて良かった。おらはまだ、おしっこも💩も漏らしてねぇんだ。紙パンツの人もいるけどな、おらは大丈夫だ!」
おしっこも💩も漏らしていないのは偉い!
しかし、その前に気づきなさい。
その飲み合わせと、その量は、確実に下る……(心のツッコミ)
「おらのお迎えはいづ来るんだべ? もう、あの世に行ってもいいんだけどよ」
「あら、二回ほどお迎え来たのに救急車呼んだから、お迎えの人帰っていったでしょう。あと三十分救急車呼ぶのを我慢してれば、逝けたんだよ~」(鬼娘のツッコミ)
「んだってな、いでぇもの。いだくていだくて、どうしようもねぇ。コロッと逝きてぇんだって。足腰弱って歩けなくなる前に、ボケる前になぁ」
う~ん。
梅ちゃんの願いが叶うかどうかは、わからない。
でも、今しばらくは元気そうである。
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